2023年7月14日、ちょうど休暇がとれたので宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を初日に観ることができました。いやもう、ジブリの鈴木プロデューサーのいうとおりの、全くの事前情報なしでの鑑賞で、期待に胸が高鳴るのでした(以下、ネタバレになるかもしれないので、未見の方はまずは本編を観ましょう)。
画面は、低く垂れこめた空の下、日本瓦の低層建屋の密集する都市の景観から始まります。この雰囲気は、戦災前の30年代?それとも震災が始まる前??やはり戦前の日本が舞台?と期待に胸が膨らみます。あ、火の粉が舞っている!!無差別爆撃なのかそれとも何かの災害なのか?この少年が主人公なのか?
戦争が始まって3年と、その翌年に東京を離れたというモノローグがあり、1937年の盧溝橋事件?を起点とすれば41年に東京を離れたことになります。あれ?お母さんはドゥリットル空襲ではなくて病院の失火火事でなくなったのだろうか・・・と時代背景の設定についていろいろ考えます。
で、疎開先のお母さんの実家で徐々に舞台の設定が明らかになっていきます。まず、父親の再婚相手は母の妹!でおまけに父とのこどもがおなかの中にいます(笑)。それどころか実家はすごく太い「ブルジョワジー」で戦闘機のキャノピーを作っている工場も持っています(キャノピー工場は宮崎監督の実家も同じです)。もう、「君たちはどう生きるか(吉野源三郎)」にでてくるようなブルジョワ階級です。で、小高い山腹にあるお屋敷、ばあや達、青鷺、洋館、庭園池、謎の尖塔と舞台が揃っていきます。
で、ブルジョワの小僧はちょっと嫌な奴です。父親も子供に担がれたとは言え、いまでいう「モンスターペアレント」です。で、そのブルジョワ小僧がさまざまな「冒険」を通じて人間として成長するというお話でした。父親も家族思いのよき父だったという・・・
でも、それって、1930~40年代の戦時下日本という設定の必然がなくないですか。
宮崎映画のだいご味は、描く時代に即した設定、背景から何らかのテーマなりエピソードなりが立ちのぼってくるところであったのだと思います。もののけ姫の中世日本、千と千尋のバブル後の現代日本、トトロやコクリコ坂の戦後昭和の日本、風立ちぬの富国強兵から破局へ向かう日本・・・、あるいは紅の豚の20年代アドリア海や、魔女宅急の南欧州の風景と飛行船の時代・・・いずれも時代背景が登場人物の心象とむすびついて、お話の説得力を裏付けていたのではないでしょうか。
でも、今回のこの作品において、経済的に恵まれた境遇にある少年の実母の死別と新しい母の受容と和解、自らの卑怯な振る舞い(=自傷という思わせぶりな行動)に対する少年の反省は、世界大戦に突入しようとするファッショ体制の日本の物語とうまくシンクロしないのです。お屋敷にまつわる様々な秘密の冒険譚ならば、ラピュタみたいなどこでもないどこか、あるいはポニョ(は鞆の浦だけど)のようなファンタジーとして描けば腑に落ちただろうし、ならば冒頭から続いた30年代日本のリアルな描写の積み上げは何だったのだろうかと観ているほうは感じてしまいました。
まあ、亡き母が残してくれた「君たちはどう生きるか」に気付いて涙ぐむシーンはグッときます。
一方、いま流行りのタレントさんやアーチストなどで声出演したりテーマソングにしたりという話題性マーケティングは興が削がれました。鈴木プロデューサーのインタビューを読むと、巨匠は最初の20分の絵コンテを書き上げてきて制作の判断を仰いだということなのですがほんと最初の20分はドキドキさせられました。
これって、きっと黒澤明監督の「夢」みたいな位置に該当するのかなあ(観てないけど)。←誰かもどっかに同じこと書いてた!(笑)
追伸
岩波「世界」の公式ツイッターアカウントがBANされちゃったってどこかで聞いたので、世界8月号買っちゃったよ(笑)。
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