初期ジャングルファティーグなどの「前合わせに付くフラップ」については「ガスフラップ」という呼びかたが一般化したりしています。また、もっともらしくそのフラップが「前合わせからのガスの侵入を防ぐため」などと解説されたりもしています。そんな言説には多くの人が「そんなわけないよね」と違和感を感じていたりしているのではないでしょうか。
そもそも常識的に考えてコットンポプリンのざっくりした(気密性の低い)シャツにケミカルプロテクト機能などないわけですし…
というわけで、今回はジャングルファティーグの初期型(1st,2nd)に見られるような前合わせのフラップについて考えてみましょう。
たとえば、ジャングルファティーグの2ndの場合
首回りのクローズアップ
インストラクションラベルを読んでみると
「3 インナーフラップがまっすぐ所定の位置にあるか確認のうえ、フロントボタンを閉じること」との記載があります。
ここでは、「インナーフラップ」と表記されていることがわかります。
そんなところから、とりあえず現時点では「インナーフラップ」と呼んでおくのが妥当な気がします。
時代を少し遡ってみると、いくつかのアイテムに似たような仕様が見られます。
USMCヘリンボン生地ジャケットの場合
US陸軍ウールシャツの場合
微妙にジャングルファティーグの形状とは異なりますが、いずれも「開襟」に関して?の仕様と思われます。何かを「隠す」目的なのでしょうか?19世紀~20世紀初頭の服飾史との関連も要チェックかもしれません。例えばアンダーシャツ、あるいは素肌を見せないためとか?
あるいは、もっと単純に虫よけ(侵入防止)とか、WR(風よけ)とか?
というわけで、「いやあ実はこんな意味があってねっ」とご存知の方いらっしゃりましたらぜひご教示いただけたらと存じます。
追記:同様の疑問を呈している方もおりました!!
追記の2(3/15/2019)
↓米国の専門書籍にも gas flap の記述がありました。
やっぱりガスフラップと呼ぶのでしょうか?謎です。
Uniforms of the US Army Ground Forces 1939-1945, Volume 3, Shirts
Charles Lemons 2015