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夏休みにこれはお勧め! 映画「DIE UNSICHTBAREN(ヒトラーを欺いた黄色い星)」観てきました。 (番外編)

クラウス・レーフレ監督「ヒトラーを欺いた黄色い星」(原題:DIE UNSICHTBAREN/不可視の存在)を新宿武蔵野館で観てきました。

さて映画は、第二次大戦下のドイツベルリンに住む若者が、ユダヤ人というルーツのためナチの迫害を逃れてなんとか生き延びるという実話がベースになっています。物語の要所に本人たちの回想インタビューも挿入されてドキュメンタリ感を高めます。見てるほうは引き込まれてドキドキしてしまいます。自身があの時代のあの立場にいたら、果たして生き延びることができただろうかと自問します。あるいは、ベルリンに住むドイツ市民であったらどういった振る舞いができたであろうかとも考えます。

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この映画に登場する4人は何とか1933~45年の期間をサバイブできた幸運な人々です。映画では彼らを助けようと奮闘する勇気ある誠実なドイツ市民や政府の官僚がいたことも描かれます。そしてかれらの少なくない人たちが逮捕され処刑されてしまします。

一方、その背景にいた「無関心」・「怯懦」、あるいは「ファシズムへの統合」を求めた数千万人のドイツ人は直接は描かれません。また、迫害を受けた数百万人のユダヤ系市民(あるいはロマやシンティなどの少数民族、占領地の外国人、政治的反対者、同性愛者、障碍者など)の犠牲者についても、史実の基礎的な知識がないと、迫害についての想像力が追いつきません。

作成側は、映画の中でわざわざ言及しなくとも、そんなことは現代社会の共通認識、了解事項ということという認識だからなのでしょう。それはその通りと思います。

しかしながら日本においての一般教養教育としては、ナチの「絶滅計画」は、ほとんどがスルーされています。「世界史」の教科書でさえ数行触れられているにすぎません。(例えば山川「詳説世界史B」では、《独ソ戦》の項で〈短期戦に失敗したドイツは、戦争経済を支えるため東西ヨーロッパの占領地から工業資源や食料を奪い、数百万人の外国人をドイツに連行して強制労働につかせた。また、支配地域にも人種差別主義を強制し、多数のユダヤ人やスラヴ系の人々をアウシュビッツなどの強制収容所で殺害した。〉とたったこれだけです。)

なので、この映画を見たことをきっかけにして、若い人たちは是非「戦争」と「国家」について思いを馳せてほしいと思います。

なぜドイツ人はナチ党に投票したのか?

ドイツにおいてユダヤ民族差別の主張がなぜ容認されたのか?

全体主義がある国の社会を席巻するのはなぜなのか?

フェイクな情報を一定数の人々が「信じて」しまうのはなぜなのか?

(実は「映画の日」だったので東中野ポレポレにもハシゴして、ドキュメンタリー「国家主義の誘惑」(渡辺謙一監督)も見ようと思って会場へ行ったのだけれど満席だったので諦めちゃいました。もっとも「映画の日」割引もない特別料金だったけど。)



by poemaquince | 2018-08-04 15:22 | 映画 | Comments(0)