PARKA SHELL M-1951 / TYPE 1956 Experimental?
今回は、M-51パーカ1956年バージョンとされる背面が上下2分割のパーツ割のタイプのものについての記事です。
M-51に関してネットウォッチされている人々の中には、「あの2、3の事柄ブログ、なんであれを取り上げないんだ?」と不審に思われていた方もいらっしゃるかもしれません(笑)。
川村も、書こう書こうとは思っていたのですが、もうすこし何か判ってからと、ずるずる引き延ばしていたわけでした。今回この記事を書くにあたって、結局、なにか確かなことがわかったわけではないのですが、現時点で不明な点の多い謎のモデルとしての記事ということになります。(いっぽう先日、大阪チャーリーの野本さまが、「USMCモデル」ということで当モデルをネットオークションに出品されておりました。新たに何らかの情報を確認されているのかもしれません。)
というわけで、この特異な56年タイプの詳細を見ていきたいと思います。
ぱっと見は、どこにでもあるM-51パーカです。
以下、順次観察していきますが、全体としてパーツの少点数化、工程の簡略化を意図したエクスペリメンタルなデザインなのではないかという気がします。

背面の全景
見づらいが、背中のシームが縦の左右分割でなく、上下分割であることに留意

フロントを開いてみたところ

腰のドローコードトンネルの比較
通常モデル(上段)は、別パーツにてトンネルを貼付けているが、56タイプ(以下T56)は背面下部パーツ端を折り返し、トンネルを作成している。トンネル両端にボタンホール状の孔をもうけてコードを取り出していることに留意

腰のドローコードアイレット(はとめ)取り出し口(裏面)の比較
左/通常型、右/T56
補強ウェビングテープの織り、アイレットの留め方(左/菊割り、右/ワッシャー留)、ライナーボタン裏の芯生地(バックラム)の色(左/白色、右/オリーブグリーン)に留意

裾のドローコードトンネルの比較
左/通常型、右/T56
裾のトンネルについても、通常型は別パーツにて貼り合わせているが、T56は、70年代以降のM-65のように端を折り返してトンネルにしていることがわかる。

同じく裾のドローコード取り出し口比較
左上段/通常型 右下段/T56

フィッシュテールの比較
上段/通常型 下段/T56

袖の比較
左/T56 右/通常型
袖ボタンの形状違い、袖口のパーツ割りの差異に留意

T56の袖のクローズアップ
通常型と異なり、袖のエラスティックテープ用トンネルも折り返しの袋状であり、また、袖スリングの取り出し口がボタンホール状の切り込みであることがわかる。

フード部(背面)の比較
上段/通常型 下段/T56
フード背面は、通常型は4分割であるのに対し、T56は3分割パーツであることに留意(見づらいけど)

T-56フード内側サイズスタンプ部のクローズアップ
「1956」という表示が見て取れる。
パーカ本体へのフードの取付け方法や、ハンガーループなど通常型との違いに留意

T-56フロントファスナーのクローズアップ

この個体を入手した当初、1956年というスタンプから、初期に多く観察されることの多いTALON(アルミ)ファスナーは、後付けではないかと推測していました(縫付けも雑だったし)。しかしながら、いままで確認できたこのタイプの全例(5例)が、このタロンアルミファスナーを使用していたため、ほぼ、オリジナルの仕様であるということと判断しました。また、同一のファスナであることによって、このモデルが同一の生産ロットであったということが推測されます。今回の記事において、このタイプのパーカについては、スタンプが不鮮明(53か58かわからない)な個体であっても56年プロダクトの蓋然性が高いと考え、TYPE56と呼称することとしてみました(P56でもいいけど)。
今回比較した「通常型」との全景比較
