人気ブログランキング | 話題のタグを見る

M-51Parkaに関する2,3の事柄

映画「フューリー」《FURY》観てきました。「今度こそ(笑)ネタバレ注意!」

映画「フューリー」《FURY》観てきました。「今度こそ(笑)ネタバレ注意!」_a0164296_1205924.jpg

シャーマンには詳しくないけど、荷物もごっちゃり積んでいて雰囲気でてるよね。
イージーエイト?

 先日、「フューリー」を劇場で観てきました。物語は1945年4月の西部戦線(ドイツ本土)が舞台です。
 観賞後の感想は、「?・・・リアルなんだけどリアルじゃない。」なぜそのような印象になるのか、観終わったあと物語をあれこれ反芻してみます。つらつら思い浮かんだのはつぎのようなことでした。
 オープニングは良い雰囲気です。シーンは戦車の墓場、擱座した4号戦車のシルエットに泣けたりします。そこに、ぽっくりぽっくりと馬に乗ったドイツ軍士官が登場します。馬がシャーマン戦車のシルエットの前にさしかかると、突然車上から人影が飛び出して、馬上の士官に飛びかかります。そして士官をメッタ刺しにします。アメリカの戦車兵ドン・コリアーです。なんで刃物で襲う?銃撃で十分ではないのか?ふっと違和感が胸をよぎります。
 SWみたいな曳光弾の表現はご愛嬌としても、前半はまだ我慢もできます。戦争の混乱や残酷さを描く、ぐっと来るシーンもあります。まあ、米軍コートを着ていただけのドイツ兵を処刑しちゃったりとか、占領した町の民家に押し入り食事を作らせたり、新兵に女性を世話するとか、ドン・コリアーの人物像はよくはわからないのですが、それは置いといて物語はすすみます。(っていうかそのあとに起こる砲撃の悲恋を描くためにドン・コリアーが唐突に新兵を連れ出すエピソードを作ったというところでしょう)
 そして、中盤の「タイガー戦車」との戦車戦のシーンにさしかかります。映画のプロモーションではけっこうここを売りにしていた印象です。ところがどういうわけか、せっかく実車を使って演出しているのにティーガーの恐怖が伝わってきません。アンブッシュしていたはずのティーガーが、灌木の茂みからあっという間に姿をさらけ出して、平地での激しい砲撃戦が始まります。なんだかよくできたビデオゲームを見ているような気分です。おまけに話題のティーガーは、「ここは1942年の北アフリカか?」というようないでたちです(ミュージアム収蔵品に対してそこを突っ込むのは過酷な気もするけど、むしろベースがT34でも何でもいいから、ざらざらのツィメリットコーテイングとおどろおどろしい3色迷彩で、灌木をびっしり身に纏ったティーガー(もどき)のほうが映像的に「リアル」だと思うんだけど)。気になったのは、ティーガーに立ち向かうシャーマン戦車の動きです。多対一で、普通は散開すると思うんだけど、ティーガーに対して3両並列して正面で対峙しています。戦術はよく知らないのでそういうものかもしれませんがなんとなく腑におちません。
 そして、クライマックスの十字路の防衛戦闘、いやはや、わだかまっていた違和感が全開です。ウォーダディーは、部下を守りながら激戦を生き抜いてNCOとして信頼をされて来たように描かれています。なので、部下に対して生還させる責任を全うするものとばかり思ってました。上手い作戦でドイツ軍の裏をかきエスケープハッチからこっそり生還すると。ところが、シャーマン砦に立て籠った「戦士」たちは、にっくきナチどもをばったばったとなぎ倒し、銃弾が尽きたら車外積載の予備弾薬も超人的に回収し、でも、最後は刀折れ矢尽きて英雄として死んでいきます。一方、あんなにたくさんパンツァーファウストを担いで行進していた武装SSは、なぜかだれもパンツァーファウストを持ってません。最後の最後にやっと持ち出すけど、擱座して動かないシャーマンに近距離から撃ってもなかなか当たりません(映画の前半ではフォルクスシュトルムの少年兵が進軍するシャーマンを仕留めているのですが)。身も蓋もない爆発と暴力のアクション活劇です。必然のないアクションシーンで物語を破壊しています。いや、個々のシーンは悪くないし、映像を切り取ればリアルなんだけど。ドン・コリアーのキャラに筋が通ってないというか・・・「葛藤する複雑な人物」に見える割に「物事を善悪二元論で理解」して行動するし、「日和見」なのか「原理主義者」なのか。まあ、なんていうかマーケティング的に「お約束アクション」を盛り込まねばならなかったハリウッド映画に期待してしまった自らの過ちを反省するのでした。

映画「フューリー」《FURY》観てきました。「今度こそ(笑)ネタバレ注意!」_a0164296_1214349.jpg

1942年チュニジア(笑)


映画「フューリー」《FURY》観てきました。「今度こそ(笑)ネタバレ注意!」_a0164296_1204218.jpg

シャーマン砦(夜陰にまぎれて脱出してほしかった)
by poemaquince | 2014-12-20 23:52 | 映画 | Comments(0)