M-51Parkaに関する2,3の事柄

M-51parkaの生地について(その2) 続コットンサテン厚生地の謎

M-51パーカー生地については、当ブログにおいても断続的に考察してきたところですが、「厚生地」「薄生地」の仕様の謎については、ヒストリカル版の仕様書さえ入手できればそこに明確に書いてあるのではと期待していたわけでした。ところが・・・・
(生地素材に関する考察など↓)
2010年4月 M-51 parkaの生地について
2010年7月 コットンサテンの厚生地は本当に「初期型」か?
2010年12月 MIL-P-11013(初版)14 March 1951

昨年末に入手したヒストリカル版の初版であるMIL-P-11013(QMC)にて規定される本体生地は、5オンスのコットンナイロンオックスフォード織(いわゆる世間で「後期タイプ」と呼ばれていた)薄生地でした。また、この仕様において、コットンサテン織に直接言及した個所は(目を通した限り)ありませんでした。では、コットンサテン織の「厚生地」の存在はどのように説明すればよいのでしょうか。
以下、推測でしかないのですが、昨年7月の欄にて考察したとおり、軍の大量発注に際し、コットンナイロンのオックスフォード織の数量調達が間に合わなかったため、特記仕様にて容認された。あるいは、以下の仕様書に示す発注用「見本品」に、何らかの事情によりコットンサテン生地が使われていた。あるいはその両方によるものなどと考えられるのではないでしょうか。
いずれにせよ、現時点では「厚生地」については1952年秋以前の生産であったと(厚生地のスタンプでMIL-P-11013Aなどが確認できないので)推測されます。
 
MIL-P-11013(QMC)の仕様書にはつぎのとおり、応札に際して「標準見本」を示しています。(仕様書は2010年12月記事欄参照)
3 REQUIREMENTS
3.1 Standard sample.
In all respects not specifically covered by this specification, the parka shall be equal to the standard sample (see6.3)
3 要件
3.1 標準見本
この仕様によってあらゆる点が明確に網羅されるわけではなく、その場合、パーカは標準見本と一致させる。(6.3参照)

6.3 Standard sample. For access to standard sample, address the procuring office the invitation for bids.
6.3 標準見本:入札募集を行った調達事務所にて標準見本が閲覧できる。

MIL-P-11013Aもつぎのとおり上記と同じ文面です。
仕様書A版
24 DESEMBER 1952
a0164296_0153871.jpg
a0164296_0161026.jpg


ちなみに1962年8月のMIL-P-11013Dは、このような表現になっています。
3.1 Sample.
Samples are furnished solely for the guidance and information to the contractor (see6.3)
Variations from the specification may appear in the sample in which case the specification shall govern.
3.1 見本品
見本品は、請負者に提供される唯一の指示および通知とする。(6.3参照)
見本品に現れた仕様との相違(ヴァリエーション)については、見本品が優先される。


訳が間違っていたらすみません。・・・しかしながら、D版の仕様では、より「実物見本が優先だよ!」ってな感じになっている気がします。

追記:訳が違って(笑)いました。 the specification shall govern.を「仕様書が支配される」の意と解釈したのですが、ここはそのまま「仕様書が優先する」と読むのが正解のようです。詳細は、下記コメント欄のmilcloeさんの指摘を参照してください。(2011.6.12)
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by poemaquince | 2011-05-30 00:21 | parka | Comments(9)
Commented by milcloe at 2011-06-03 14:44 x
ご無沙汰してます。
最後のところ、意味が逆ですね。
「見本品はあくまで参考として提供される。
見本品に仕様書と異なる点がある場合は、仕様書を優先。」
て感じです。

前世紀中ごろの調達に関するリポートがあります。
http://ciehub.info/ref/ADA043236.pdf
ここで参考文献に挙げられている、
Haggard, John V., Procurement of Clothing and Textiles. Q.M.C. Historical Studies, Series II.
No. 3. Office of the Quartermaster General, Washington, D.C. 1957.
てのが役に立ちそうですが、探している最中です。
Commented by poemaquince at 2011-06-08 22:37
ミルクロ―さん!
ご無沙汰しておりました。
貴重なご指摘ありがとうございます。いやはや英語にがてで・・・すみません。
すると初版、改版Aと改版Dの間にはサンプルの扱いに大きな違いがある?ということでしょうか?それとも初版および改版Aの訳も仕様書優先という訳になるのでしょうか?
いろいろご教示よろしくお願いいたします。

Commented by poemaquince at 2011-06-08 23:28
いま、上記 http://ciehub.info/ref/ADA043236.pdf をさっそく覘いてきました。いやーなるほど、英文は読めないのですが、グラフとかなんとなくながめると興味深いですね。朝鮮戦争前後のコットン価格の変動?とか。
あと、1972年の生地の調達先?でマンメイド(ナイロンとかのことかな?)はさすがに日本が1位だけど、コットンは香港が1位!これって人民中国からの迂回輸出だと思うんだけど、ニクソン訪中の結果なのか、輸入実績がニクソン訪中を導いたのか、前年度の実績が見てみたいと思います。
ミルクロ―さん、興味深い資料のご紹介ありがとうございました。次の参考文献の発掘も楽しみにしています。
追伸:コメントいただいていたのは6月3日なのですが、すみません承認が本日になったしまいました。
Commented by milcloe at 2011-06-09 00:20 x
A版のほうは「仕様書に書かれてないことは見本通りに作れ」って感じですね。なんだか仕様書に自信が無い感じですね。しかし改定とともに詳細さが増していったんでしょう。
項目を比べてみるのも面白いかもしれませんね。
Commented by poemaquince at 2011-06-10 22:27
そうすると、仕様書に明確に書かれている「コットンナイロンオックスフォード」以外の生地(コットンサテン)の使用について、ますます説明が付かなくなりますね。また、上記リポート「ザ チェンジング ケイパビリティ オブ ザ テキスタイル インダストリー トゥ サポート ナショナル ディフェンス」では、1950年6月以降に急激にコットンとウール価格が上昇していることが判りますが(本文が読めないので図だけ)パーカにコットンナイロンオクスフォードが採用された要因とは推測できますが、コットンサテン使用の説明には結びつかないですよね?英文のリポートでは、なにか言及や分析があるのでしょうか。
Commented by milcloe at 2011-06-11 04:10 x
パーカの生地に関しては、物資不足から代替生地が利用されたと思っています。が、残念ながら上に挙げたレポートからは、そういう事実は確認できませんでした。ざっと読んだだけですが。
ウールやダック生地の不足に関しては結構記述があるんですけどね。

ところで、"basic material"は初版からD版まで変化ありませんか?
Commented by poemaquince at 2011-06-13 23:18
基本的に大きな変化はありませんが、細部に変化が見られます。今後、分析していきたいと思ってます。
Commented by ally at 2013-02-03 12:41 x
こんにちは。allyです。全て揃ったM51を目の前に、毎日ニヤニヤしております(笑)
スタンプの表示内容ですが、シェルがQUALITY CLOTHING.CO.INC製で、DATED 21 MAY 1951 SPEC.MIL-P-11013 QMCで厚手コットンサテンです。

ライナーはSALEM PRODUCTS CORP Q.M.22979.29DEC.
1951 SPEC.MIL-P-11012(QMC)
いわゆるモコモコ仕様の初期型。

フードは白スタンプで所々消えかかっていて、読み取りづらいのですが、 KRAVIN PARK CLOTHES SPEC???11023 QMC 4 JUNE 1951 読めない所もあるので間違っているかもしれません。こちらも厚手コットンサテンです。

シェルは、フィッシュテールのドローコードの片方がスナップボタンにプレスされてて外に出ていなく、縫製ミスと思われますが、直さずあえてこのままにしています。本当の使い方する人もいなと思うし、私も使いません(笑)

フードに関して、今はいいのですが、徐々にコヨーテファーが抜けていってしまうようなので、安くリペア出来る毛皮業者を見つけました。コヨーテ材料代6000円。加工代3000円。送料だそうです。

あとはコントラクトが消えないように維持出来ればいいのですが・・・

Commented by poemaquince at 2013-02-03 21:13
allyさま
スタンプは洗えば消えていってしまうので、維持は難しいですよね。根源的には着ないでしまっておくしかないのですが、対症的には鮮明なうちにデジカメ撮影しておくとかしかないのですかね。頭の痛い問題です。