M-51Parkaに関する2,3の事柄

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DPSC DIR. OF MFG.製のミッチェルカバー(1964〜65?)

 今回の、DPSC製ミッチェル柄のヘルメットカバーの記事は、じつは前回の、ベトナム戦争期のM-1ヘルメット(ヘルメットカバー篇)の記事を分割したものです。
 前回の記事に沢山の話を突っ込んでしまい、時代や話が入り組んでややこしくなってしまったため今回分割させていただきました。なので、もうこの話は前回読んだよ!という方もいらっしゃると思います。すみません、今回のテーマ、今後もなんかややこしくなりそうなので(話が発展しなかったら済みません)、項を改めさせていただきました。
というわけで本文です。

 M-1ヘルメットの権威レイノーザ氏の書籍"Post-ww2 M-1 HELMETS an illustrated study"や、USミリタリアフォーラムの投稿、あるいはこのフランスのウェブページ
http://www.world-war-helmets.com/annexe.php?q=Les-marquages-des-couvre-casques-du-casque-M-1

 によれば、このカバーは。1964〜65年製ということなんだけど、真ん中の深い切れ込みからみても、もっとあとの生産に思えてならないのだけど。
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コントラクトスタンプのクローズアップ
コットンダック生地 コントラクトNo7219 DPSC DIR. OF MFG.
 そもそも、DPSC(ディフェンスパーソネルサポートセンター)って、60年代中盤からあったのだろうか?
 追記:USウィキペによればPQMD(フィラデルフィアクォーターマスターデポ)の再編によりDPSC1965年〜、98年にDSCP(ディフェンスサプライセンターフィラデルフィア)に改変とのこと
60年代中盤にはあったということが確認された。
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 ・・ていうか、よくみたらこちらでも論争http://www.usmilitariaforum.com/forums/index.php?/topic/80042-mitchell-cover-contract-list/ している様子です。(英文なので詳しく分からないのですが、あとでグーグル先生にかけてみます)
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by poemaquince | 2015-09-27 22:00 | M-1 | Comments(0)

べトナム戦争期のM-1ヘルメット その4(ヘルメットカバーの巻)

 ベトナム戦争期のヘルメットカバーといえば、もう「ミッチェルパターン」が定番なんだけど、レイトウォーにはERDL柄も結構観察されます。また、初期のUSMC部隊ではダックハンター柄も利用された様子です。
 ところで、この「ミッチェル柄(MITCHELL PATTERN)」という呼称について、その語源をどなたかご存じないでしょうか? というのも"ERDL"については、一次資料でその呼称が確認できるのですが、当該柄については浅学ゆえ確認できておりません。また、先に言及させていただいたMark A. Reynosa氏の"Post-ww2 M-1 HELMETS an illustrated study"(1998)においては、当該の迷彩に対してミッチェルパターンという呼称を使用せず、リーフパターンと呼んでいます。また、Kevin Lyles氏の ”VIETNAM :US UNIFORMS in colour photographs”(1992) においても、当該柄ヘルメットカバーについては「リーフパターン」と呼んでいます(ところが、別ページのハーフシェルターテントは”ミッチェル”パターンと紹介しているのですが) 。いやはや、あの柄がなぜ「ミッチェル」なのかご存知のかたいらっしゃいましたら是非ご教示いただけたらと思っています。

 では、写真を見ていきましょう。
(ベトナム戦争期の写真は、「USミリタリアフォーラム」「ヴェアマハトアワーズコム・フォーラム」などへの投稿写真を引用させていただいています。)

極初期のミッチェルパターン(1959年)
シェルのチンストラップ用に、カバー中腹に穿孔してあることに留意
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コントラクトラベルのクローズアップ
生地はコットンダック
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サテン織りのミッチェルパターン(1965年)
以前、DMZさんのページでhttp://armyshade.exblog.jp/19888281 サテン(朱子織)であることが指摘されております。その見解に賛成です。
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コントラクトスタンプのクローズアップ
サテン生地の織りに留意
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ポピュラーな後期型カバー(1969年)
後期には真ん中の切れ込みが深くなり、カバーに穿孔しなくともチンストラップが干渉しなくなっていることに留意
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コントラクトスタンプのクローズアップ
コットンダック生地 DSA69
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上のミッチェルカバーとほぼ同時期の「ERDL」迷彩(1969年)
色調はトーンを抑えたナティックラボ系
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コントラクトスタンプのクローズアップ
コットンダック生地 DSA69
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レイトウォーでのERDLカバー
写真のキャプションでは1971年(あまりにかっこいい共和国パッチで、まさか後世のコスプレ写真ではないでしょうねぇ)
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USMC「ダックハンター」カバー(たぶん50年代)
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この個体にはコントラクトの記載が見当たらない。
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ところで、ヘルメットカバーって80年代のコレに似てなくね?
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by poemaquince | 2015-09-22 16:07 | M-1 | Comments(2)

「軍事オンチが日本を滅ぼす」 あるいは隣国の軍事的台頭にいかに対応すべきか

 2015年9月19日、ついに日本の「専守防衛」という軍事ドクトリンが「ゴトリ」と音を立てて廻転しました。
 70年前、欧州のファシストと同盟し「ならず者国家」(笑)として世界を敵にまわして戦ったのが日本でした。その戦争に敗北し、結果300万人の日本人と2000万人のアジアの人びとが犠牲となりました。その命と引き換えに「自由」と「人権」と「平和」の社会を手に入れた日本なのです。ところが、戦争が終わって70年ののち「自由」と「人権」は国家のシモベであると信じちゃって、社会の基盤構造である「日本国憲法」を憎み、実は安全保障の薄っぺらい表面しか見えていないアレ首相によって、拙速な法案が成立しました。
 この法案の成立でアレ首相の応援団(ネトウヨともいう)の自称リアリストたちが、日米同盟が「強化」され、「抑止力」の向上に役立つと喜んでいます。彼らが本気でそう思っているとすれば、かれらの平和ぼけ(「お花畑」ともいうらしい)は相当深刻といえるでしょう。
 彼ら自称「リアリスト」の皆さんは、《この法案の成否に関わらず、米国は中国と「コト」を構えるときは構えるし、構えないときは構えない》ということが理解できていないのです。「血の同盟」の深化などという美麗字句をマに受けちゃって、最後にババをつかまされることが分かっていないリテラシーのさびしい人びとです。
 米、中はその経済相互の補完/依存性によって、20世紀型の戦争ができる関係にはありません。(そもそも中国は、米国国債に関して日本とならぶトップクラスの債権者です。)そして、それは日中関係においても同じことがいえます。(たとえば、もし中国とコトを構えるなら、食品や衣料品、薬品やあらゆる原料、その他資材などがストップします。市民生活は立ちいかなくなり、それこそ「存立危機事態」として、戦争遂行どころの話ではなくなります。自称リアルな人たちは軍事について、その背後に求められるべき莫大な経済システムと、今にち、日本がそれをどこから調達しているのかということについて理解が及んでいないのです。)
 では、隣国の「プロ独」国家(笑)の軍事的台頭にはどのように備えるべきなのでしょうか。
 その最善の解は、「戦略的互恵関係の構築」です。アレ首相も言っている言葉まさにそのものです。ところが、アレ首相はしゃべるべき「フレーズ」は言えましたが、語るべきそのフレーズの内容を理解せずに使っているように見えます。そもそも「言葉」だけで、やる気がないのか(あるいはファナティックな「日本会議」イデオロギーの信奉からか)中国からの対話のシグナルもスルーでした。
 良い悪いは別として、現実の国際社会は「国際連合/国連憲章」という枠組みを基盤にうごいています。そして連合国から見て「ならず者国家」であった我が国もその枠組みに同意し、昭和の軍国主義と決別してサンフランシスコ講和を通じて国際連合の仲間に入れてもらいました。ところが、アレ首相は、受け入れたはずの国連の枠組みを「いや、実はあれは自衛のための正しい戦争でした」とあとだしでひっくり返す認識をあちこちで示唆しています。以前の稿でも繰り返し言っていますが、まさにこのアレ首相の「歴史認識」が安全保障上の致命的なリスクとなっている訳です。ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官の戦没者墓苑の献花やメルケル首相のアドバイスなど親密な同盟国からも懸念が示されたのは皆さんご承知のとおりです。
 国連憲章51は、国連措置の発効まで、暫定的に各国に自衛権(個別的/集団的)を認めているに過ぎません。しかしながら、特定の国がもし他国を相手に戦争を始めようとするときには必ずこの国連憲章51に基づく「自衛権の発動」という手続きを装います。我が国に対する「急迫不正の侵害」を真に阻止しようと考えるのであれば、その最大の抑止力は、その意思を持つ相手方に国連憲章上の「自衛権の発動」という口実を与える隙を作らないことです。(追記:95年の議決で事実上無効化されたといわれる憲章53条、107条などのいわゆる「敵国条項」についても引き続き留意が必要なことも当然ですが、)くだらない歴史認識で、周辺国の神経を逆撫でしない大人の振る舞いが求められているのです。
 人口で10倍、GDPで3倍の規模の新興大国である隣国と、「戦略的互恵関係」をきちんと構築できる政権が一刻も早く登場する必要があるのです。

注※「プロ独」→「プロレタリアート独裁」の略、「プロレタリア」(無産者階級)の独裁的権力が
共産主義社会に至る過程で必然であるとされる論理 一般に社会主義国家の政権政党の論理とされる。「」をつけたのは現代中国の状況が、無産階級による政権ではなく、どちらかといえば60年代型の「開発独裁モデル」を経て現在は「国家独占資本主義」(笑)の段階の様相を呈しているため。(追記2017/5/10)


適切な軍事力は安全保障を補完するが、軍事力のみで安全が保障される訳ではない。
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Japanese Maritime Self-Defense Force destroyer Kurama (R) leads destroyer Hyuga as a Japanese naval flag flutters during a naval fleet review at Sagami Bay, south of Tokyo. Photograph: Yuriko Nakao / Reuters/Reuters

追記:今週、習主席が訪米し、オバマ大統領と会談する。サイバー軍拡について議題になると思うけど、日本もネットインフラの安全保障にリソース配分を拡大すべき局面だと思う。

追記の追記:回りくどくていやらしい↑書きぶりの当稿((笑)すみません)ですが、この場で川村が書きたかったことをすでに「一番槍ブログ」タイガ氏が非常にすっきり書かれておりました。いやほんとそうゆうことです。是非ご参照ください。一番槍ブログhttp://ichiban.militaryblog.jp/e694970.html
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by poemaquince | 2015-09-21 14:37 | 安倍辞めろ! | Comments(2)

ポストべトナム戦争期のM-1ヘルメット (M-1ライナー最終型)

 いやもうホント、このブログ立ち上げた当初は、モッズパーカに限定したテーマでずーっとやってくつもりだったのでした。なんといっても「M-51parkaに関する2、3の事柄」(笑)ですので。ところが「ズンフミュスター迷彩」で番外編としてドイツ軍のアノラックに言及しちゃったことでタガが外れ、3.11の原子力災害と、排外デモ、そしてアレ政権の登場でとてつもなく危機感を募らせて時事関係に言及してしまい、もう、とうとう「ポストべトナム装備」まで(笑)、ほんとはM-51関係もまだ謎が一杯なんだけど、なかなか調べが進みません。

 そんなこんなで、ポストべトナム装備(といっても登場はレイトウォーの72年だけど)の最終型M-1ヘルメットライナーは、クレードル型サスペンションまで全てはずすことができるので、ヘルメットライナーの構造も解りやすいと思います。「入門編」としてご紹介したいと思います。

ライナー本体と、内装パーツ一式
上から時計回りに、ライナー本体、ネックバンド、クレードル型サスペンション、ヘッドバンド
本体内側に見える、ネックバンド取付け用の黒い四角バックル(3カ所)に留意
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本体のバックルに、ネックバンドのストラップを通して取付けを行う。
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本体にサスペンションを取付ける。
本体側の円形フックに、クリップを差し込んで固定する。
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「クレードル型」サスペンションを取付けたところ
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頭囲のサイズに合わせたヘッドバンドを、クリップでサスペンションのテープに固定する。
できあがり
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(追記:写真間違えてました。差し替えました。)
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by poemaquince | 2015-09-08 22:10 | M-1 | Comments(0)

べトナム戦争期のM-1ヘルメット その3(USMCのダックハンターモスキートネット)

 ダックハンター柄のこのヘルメットカバー(っていうか防虫ネット)、「えっ、ベトナム戦争期?太平洋戦争じゃね?」とご指摘される方もいらっしゃると思います。ご指摘の通り、第二次大戦から海兵隊が使用している装備になります。朝鮮戦争ではあまり使用例はみられません(気温が低くてそんなに虫に悩ませられなかった?)でしたが、べトナム戦争期の写真ではそこそこ観察されるアイテムになってます。大戦中に大量生産したデッドなストックを、「それっ」と支給したもののように思えてなりません。QMのIDスタンプ類なども見当たらないので詳細は不明なのですが、USミリタリアフォーラムや、ヴェアマハトアワーズコムのフォーラムなどでは一部非官給品説も有ったりします(そうは思えませんが)。
 では、写真を見ていきましょう。
(以下、紹介するベトナム戦争期の写真は、「USミリタリアフォーラム」「ヴェアマハトアワーズコム・フォーラム」などへの投稿写真を引用させていただきました。)

ローカルメイド?のラバーバンドに留意
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ケサン陣地(だっけ?)の海兵隊員
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一見、朝鮮半島の風景にも見えるけど背負ってる装備からやっぱりベトナム(と思う)
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海兵隊モスキートネットの全景
非常に薄いコットンの帽体とネット状のスクリーンによって構成される。帽体部分は非常に薄いため破れ易い。(ボロボロの写真も見られます)
ネットのしたには4が所のリボンが縫付けられ結べるようになっている。
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ヘルメット装着例
ネット部分はシェルの中へ折り込んでライナーをはめたけど、シェルとライナーの組み合わせによってはネットを切らないと上手くはいらない場合も有りそうです。
ちなみにチンストラップを通す穴はもともと無いので、ネットカバーを適宜裂いて通してみました。
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モスキートネットでない通常のダックハンターヘルメットカバーの例
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by poemaquince | 2015-09-05 00:47 | M-1 | Comments(2)

べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)

 今年5月にべトナム戦争期のM-1ヘルメット入門(ライナー篇)を始めてはみたものの、自分自身が、ライナーの変遷をよく理解していなかったため、中途半端な紹介記事となってしまいました。今回、不十分ながら再度整理して、大戦後のM-1ヘルメットライナーの変遷をとりまとめてみようとおもいます。
 特に注意されたいのが、60年代の一時期、「M-1ヘルメットライナー」の二つの仕様が同時に並行して採用されていたことです。
 ひとつは、二次大戦期からの仕様(ボディーが、コットンダック・レジン製)によるMIL-L-1910、もうひとつが、抗破片性能の向上した(ボディーが、ナイロン・レジン製)新型のMIL-L-41800です。新型は1963〜64年ころに登場しますが、その時点で先行していたコットンダック製のMIL-L-1910を廃止とせず、新型と同型のクレードル型サスペンションを装備して並行して生産されました。
 では、具体的に見ていきましょう。

MIL-L-1910
左 大戦型ライナー(〜1954)
右 55年型(1955〜1963)
右は、ヘッドバンドを外した状態(実は付け忘れて撮影(笑))
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MIL-L-1910
左 大戦型ライナー(〜1954)
右 55年型(1955〜1963)
正面から見たところ
大戦型のライナー正面に、徽章用アイレットがあることに留意
55年型ではアイレットは廃止された。
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MIL-L-1910の三形態
左 大戦型(〜1954)
中 55年型(1955〜1963)
右 64年型(1964〜1969)
64年型ライナーのボディーは、コットンダックレジンのまま、サスペンションが新型(クレードル型)となっていることに留意、また、革のチンストラップが省略されている。
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MIL-L-1910
左 55年型(1955〜1963)
右 64年型(1964〜1969)
両者を側面からみたとこと
革製チンストラップの有無、ネックバンドの形状などが変更となったため、サスペンションを留めるリベットの位置などが異なることに留意
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MIL-L-41800
左 64年型(1964〜1974)67年5月コントラクト
右 64年型(1964〜1974)68年7月コントラクト
左のものは、ヘッドバンドを外した状態(実は付け忘れて撮影(笑))
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MIL-L-41800
左 64年型(1964〜1974)68年7月
右 最終型(1972〜1984)84年
最終型の特徴は、それまでAワッシャーとリベットでライナー本体に固定されていたクレードル型サスペンションが取り外し式となった。
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最終型の取り外し式留め具
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左 64年型(1964〜1974)68年7月
右 最終型(1972〜1984)84年
両者を側面からみたとこと
サスペンションを留めるリベットの位置などが微妙に異なる。
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MIL-L-1910(64年型)とMIL-L-41800(64年型)の比較
左 MIL-L-1910
右 MIL-L-41800
ボディーの材質が異なるのみで、外観にほとんど差は無い。
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MIL-L-1910のコントラクト(69年3月)
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MIL-L-41800のコントラクト(67年5月)
新型だけどこっちのほうが古い
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by poemaquince | 2015-09-03 17:56 | M-1 | Comments(2)

2015年8月30日 ぜんぜん誤解なんてしてないよ。

 アレ政権の官房長官は、「一部の人たちが、誤解して騒いでいる。」などとおっしゃってます。でも、今回の法案だけで「徴兵制が復活する」とかなんてこれっぽっちも思っていませんのでご安心ください。むしろ、この法案が「日本の安全保障のために必要だ」とか「中国の軍事的台頭に対抗できる」とか一部の人たちが誤解して騒いでいることのほうが心配です。
 その手の人たちの頭の中に描かれている「戦争」は、「某国のコマンド部隊が、我が国の島嶼に上陸する!!」とか、「某国の海軍によりシーレーンが封鎖され我が国に深刻なエネルギー危機が起きる!!」とか、そんな正規軍VS正規軍の「対称的な」戦争観です。いわばボードゲームの設定みたいな、20世紀型の戦争の話です。  
 もちろん、戦略と安全保障の基本としてあらゆる可能性を想定して検討することは大切です。なので、「対称戦争」のシナリオも検証することも大切ではあるのですが、今回の安全保障法案の本質はそこには有りません。
 その本質は、2012年夏のアーミテージレポート(第三次)にて明らかなとおり(※)
1)自衛隊の展開先から地理的要件を外す
2)自衛隊と米軍の一体的展開(相互運用性)強化
3)自衛隊を盾の役割から槍の役割に変換する
 という点にあります。その結果、何が想定されるか?
 可能性が高いのは、
1)「国際貢献」のかけ声で、自衛隊が中東地域の「テロとの戦い」に派遣され
2)実際に「イスラム原理主義者」と交戦(あるいは戦闘に巻き込まれ)
3)いままでイスラム世界から比較的「中立」とみられていた日本国が、明確に「イスラムの敵」と認識され
4)日本国内に無差別テロルを呼び込む
 というシナリオです。
 そう言ったことを解っていない人たちが「米国との同盟を強化すれば安泰だ」というレベルで法案に賛成しちゃっています。自分は安全地帯にいるつもりなのでしょうか?戦争に行くのは自衛官で、まさか自分が渋谷の繁華街で吹き飛ばされるなんてことに想像も及んでいないのでしょう。昔から「日本人は、水と安全はタダだと思っている。」と揶揄(あるいは自嘲)されていた訳(※2)ですが、「水と安全がタダと感じられるような日本社会」がいかにすばらしいことであるかを、失ってみてから気づいても遅いのです。
 そんなわけで、異議申し立てにはあたまかずが多いほうが良かろうと、行ってきました。2015年8月30日国会前
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※このレポート、「アーミテージ/ナイ レポート」として私の好きな、ジョセフ・ナイ先生も名を連ねて出していますが、「ジャパンハンドラー」として悪名高くなちゃってますよね。
追記:アーミテージ/ナイレポートについてはこの辺の記事が解りやすいです。
  http://iwj.co.jp/wj/open/archives/258755

※2 山本七平「ユダヤ人と日本人」あたりで昭和時代に日本人論としてよく言及されていた。当初イザヤ・ベンダサンという外国人(ユダヤ人?)名義で出版され、「ユダヤ文化についての記述が不自然・偏見を助長するもの」として散々批判されたが、ついに著者が山本であることが明らかになったりしたエピソードがある。
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by poemaquince | 2015-09-01 01:07 | 安倍辞めろ! | Comments(3)