M-51Parkaに関する2,3の事柄

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お花見「井の頭公園」2015年の場合(番外編)

ということで、渋谷の映画の帰りに急に思い立って井の頭公園に寄ってみました。
いつもは通過する「井の頭公園駅」に急行も臨時で停車します!せっかくなので「井の頭公園駅」で降りてみます。
駅前のコンビニエンスストアで、ビールと肴を調達しました。
残念ながら、天候は曇り空で、風も少し出て来ています。晴天が続いていたせいか、風で土ぼこりが舞い上がります。
人出は上々、さくらもほぼ満開(3/29)です。昨年同様、簡易花見でまったりします。あれから一年、光陰矢の如しですね。
http://parkashell.exblog.jp/19647206/

ほぼ満開のさくら
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例によっての簡易花見
今回はギネスのスタウトと7-11の焼き鳥串もも
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「宴会は22時まで」のバナー
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by poemaquince | 2015-03-29 22:57 | 番外編 | Comments(0)

フォルカーシュレンドルフ「パリよ、永遠に(Diplomatie)」観てきました。

 渋谷東急ルシネマにて、フォルカーシュレンドルフ監督の「Diplomatie(外交)」を観てきました。シュレンドルフ監督は立て続けに大戦中の独仏ものを撮っている様子なんだけど、個人的には、さきの「シャトーブリアンからの‥」のほうが観終わったあとのモヤモヤ感が好きでした。いや、この映画もしっかり面白いんだけど。同じテーマを扱った「パリは燃えているか」と見比べてみたいです。
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 映画の内容については、マライ・メントライン女史のこちらのHPが的確な解説をされているので是非ご参照ください。
http://young-germany.jp/2015/03/『パリよ、永遠に』フォルカー・シュレンドルフ/
 おおっ、上記参照先には、「東部戦線の神様」熊谷徹先生のHPが!
http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/1869-756.html

監督と外交官と将軍(将軍の「肩そで」にはクリミアシールドが)
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 見比べるで思い出しましたが、44年7月20日事件を扱った「ワルキューレ」(2008)は期待が大きかったので、後半の展開(アメリカ映画にありがちな、ドラマチックに盛り上げようとして展開が嘘くさい)にがっかりしたものです。子どもの頃、シュタウフェンベルクを描いた白黒映画(タイトル不明/たぶん「Es geschah am 20.juli」)をテレビで見て甚く感動したことと比べていたのでしょう。もう一度しっかり見てみたいのですが。
 たぶん、この映画と思うのですが。(タイトルが微妙にちがう?)
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 劇中、ヒムラーの使者のSD将校(傍若無人)がいい味出してます。
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すごい蛇足で、恐縮なのですが、最近の映画にしては珍しいと思ったのが、字幕の表記で、ドイツ人のなまえ(具体的には忘れちゃったけど、たとえば「マイヤー」を「マイヤル」みたいにしてる?)とか、「装甲(パンツァー)師団」を「パンサー師団」(フランス語専門の人がつくったからなのか?)とかが気になりました。(野暮天すみません。)
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by poemaquince | 2015-03-29 21:51 | 映画 | Comments(0)

「八紘一宇」の素、読んでみました。

 ヤンキー議員もすなる「八紘一宇」というものを、パーカヲ宅もしてみむとてするなり。
 という訳で、読んでみました。「八紘一宇」の元ネタ。といってもそんな古典の素養も無いのでネットで拾える情報をつぎはぎしてみました。
 主に参照したのは、「神武天皇詔勅謹解」武田祐吉(昭和10年)、「時局関係御詔勅謹解」御詔勅衍義謹纂会 纂(昭和15年)、ウィキペディア各項目、それから国家鮟鱇さんのブログ、青空文庫の津田左右吉論文等です。(特に国家鮟鱇さんの考察は参考になりました。)昭和初期頃から「神武天皇橿原奠都ノ詔」(じんむてんのうかしはらてんとのみことのり)として「帝国」の建国起源を説明するパンフレットに盛んに解説されたりしています。

 その前に、まず確認なのですが、そもそも「日本書紀」に「八紘一宇」という言葉はありません。大正期に田中智学という国粋的な宗教活動家が、日本書紀「神武天皇の建国譚神話」に絡めて造語したものです。それが国家神道と結びつき、「史実」として昭和期の軍国イデオロギー教育に活用されていったというところです。つまり「すめらみことを戴く大日本帝国が他の国を軍事的に支配するのは決して自国の利益のためではなく、その国のためを思って良いことをしているのだ」という理屈です。二千数百年も昔からそう言った美風を持っているのが我々日本人なのだということのようです。(ちなみに日本書紀が編纂されたのは今から千三百年くらい前なのですが、それからさらに千年以上さかのぼった昔のことを書いた記録(笑)ということになっています)
 今からみれば奇怪な理屈も、「それって、違うんじゃね」と心の中で思ってはいても、公然と口にすることが憚られた時代ではあった訳です。
 

 日本書記巻第三、神武天皇即位前紀己未年三月丁卯条につぎのとおり書かれています。(分かりやすくするため段を分けてます)

 自我東征於茲六年矣。賴以皇天之威、凶徒就戮。雖邊土未清、餘妖尚梗、而中洲之地無復風塵。誠宜恢廓皇都、規摹大壯。
 我は東方に遠征して6年になる。天の神の威力を頼りとして、反抗勢力を殲滅した。辺境の地といえども未だ沈静化せず、残徒は未だ勢力を保ってはいるが、中つ国(ヤマト地方)の地に風塵(戦乱)は無い。誠に宜しく皇都を開設し宮殿を計画造営すべし。

 而今運屬此屯蒙、民心朴素、巢棲穴住、習俗惟常。夫大人立制、義必隨時。茍有利民、何妨聖造。且當披拂山林、經營宮室而恭臨寶位、以鎮元元。上則答乾靈授國之德、下則弘皇孫養正之心。
  しかるに今般未開の土民に巡り合い、民心は素朴であり、巣に棲み穴に住む習俗を常としている。それ天子は(統治の)制度を定め、義(理想)は必ず時勢(実情)に沿うこととする。いやしくも土民に利益があれば、天子の業(統治建設)が妨げられることはない。まず山林を開墾し宮殿を運営し恭しく高御座(たかみくら)で臨場し、以て人々を統治する。上に則ち天の神より国を授けられた徳に応え、下に則ち天孫の正統性を養う心を教化しよう。

 然後兼六合以開都、掩八紘而為宇、不亦可乎。觀夫畝傍山東南橿原地者、蓋國之墺區乎、可治之。
 そうした後、六合(天、地、東西南北)を統治する都を開き、八紘(四方四隅)をおおう宮殿を為すこともまた良いではないか。かの畝傍山の東南橿原の地を観れば、けだし国の墺区(重要地点)である、ここを治めよう。

 素人がざっくり解釈しただけなので、見当違いもあるかとは思いますので、大目に見てください(専門の方のご指摘大歓迎です)。まあ昭和期の「謹解」も結構アレな方向に引っ張られてますけど。
 当時の公文書は、漢文(つまり中国から輸入された文章)で書かれることが通常でした。海外の最先端文明をしっかり取り入れるところは日本文化の特徴なのだなあとしみじみ感じたりします。
 (追記:「日本文化の特徴」なんかではなく、「異なる文化の接触による先進的文化の流入」はどこにでもみられる現象というツッコミもいえるかもしれません。)


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 で、そもそも川村が、「神武奠都詔」を確認するきっかけとなった三原センセーの国会質問です。
三原センセーは、彼女のHPでつぎのように述べています。
http://ameblo.jp/juncomihara/entry-12002793496.html

(以下、三原議員のHP引用/抜粋)
私があえて「八紘一宇」という言葉をつかって、委員会質疑で問題提起を行った意図をお伝えしておきたいと思います。

この言葉が、戦前の日本で、他国への侵略を正当化する原理やスローガンとして使われたという歴史は理解しています。侵略を正当化したいなどとも思っていません。私は、この言葉が、そのような使い方をされたことをふまえ、この言葉の本当の意味を広く皆さんにお伝えしたいと考えました。

ご指摘いただいた中にもありましたが、「八紘一宇」という四字熟語そのものは、大正時代に入ってからつくられた言葉であると言われていますが、もともとは神武天皇即位の際の「橿原建都の詔(みことのり)」にそもそもの始まりがあります。
是非、全文をお読みいただきたいと思いますが(「橿原建都の詔」の全文は、末尾に引用させていただきました)、まずは該当部分の抜粋をご覧ください。

「八紘(あめのした)を掩(おお)いて 宇(いえ)と為(せ)んこと 亦可(またよ)からずや」

今回、私が皆さんにお伝えしたかったことは、戦前・戦中よりも、ずっとずっと昔から、日本書紀に書かれているような「世界のすみずみまでも、一つの家族として、人類は皆兄弟としておたがいに手をたずさえていこう」という理念、簡単に言えば「みんなで仲良くし、ともに発展していく」和の精神です。
(引用おわり)

 というわけで、川村も上述のとおり読んでみたのだけども、もう、どう読んでも<「世界のすみずみまでも、一つの家族として、人類は皆兄弟としておたがいに手をたずさえていこう」という理念、「みんなで仲良くし、ともに発展していく」和の精神>などということが書かれていないのは明らか。なぜこのような「ニセ歴史」をばらまいて平気なのか?
 今回の質問の本題は、多国籍企業の租税回避の問題だったはずで、グローバル企業が税金逃れをしていることの是非はいったん置くとしても、そのテーマならば、せめて今はやりのトマ・ピケティを引いたほうがよっぽど時流に乗ってるとは思ったんだけどさ。
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追記
アレ政権のボスに媚びを売る末端議員のさもしさは脇に置くとして、「東洋経済」のHPにおいてもどうしようもない珍説を懲りずに発信しています。
http://toyokeizai.net/articles/-/65369
いや、だから古代の政治文書を、近代に恣意的に読み替えて勝手に「スローガン」にしただけの言葉が、なんで「日本の理念」なのか。この恣意的な「理念」のもとに国家主義とファシズムが正統化されてきた歴史について、M議員は、あまりに軽く捉えている(あるいは気づいていない??)のではないか。
論理としても多国籍企業の課税の話とは全くつながらないことについても自覚がなさ過ぎ(っていうか、投票したやつは恥を知れ!!)。
(まあ、程度の低い議員って、アレの方も含めて確かに沢山いるんだけどさ)

おもな参考参照先
神武天皇詔勅謹解 武田祐吉(昭和10年)http://blog.goo.ne.jp/kuonkizuna1601/e/92762e9492cf569e95c677fd378a5db0
時局関係御詔勅謹解 (昭和15年)
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1026169/39?tocOpened=1
国家鮟鱇さんブログ
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20150322/1426989770
日本歴史の研究に於ける科学的態度(津田左右吉 昭和21年)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001535/files/53738_47831.html
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by poemaquince | 2015-03-26 21:23 | 安倍辞めろ! | Comments(1)

デッドコピーのM-1ヘルメット???

 良くわからないM-1系のヘルメットがあります。
 多分、60年代〜80年代あたりにどこかの国でデッドコピーされたものではないかと思われるのだけど、良くわかりません。
 来歴を聞いてみると(米軍?)廃艦艇備品の中に紛れていたもののようです。
 シェルはマットのオリーブドラブですが、マチエールにつぶつぶはありません。
 材質は、磁石が付かないため、米軍と同様のマンガン鋼と思われます。
 また、シェル内側にはM208Aと読める刻印もあります!!
 ベトナム戦争当時に日本で作っていた軍需物資とも思えるのですが、ライナー本体は総樹脂(プラ)で、大阪CHARLIEさんの取り扱われている50年代(布積層樹脂?)日本製ライナーとは、だいぶ様子が異なります。(ただし、チンストラップ取付け用のスタッドは似ているように思えます。)
 また、件のライナー正面には徽章用のホールも開けられています。
シェルのチンストラップはスィベルベイルに直接縫付けで、ボールタイプのリリースフックなのですが、明らかに米軍のものと材質が異なります。
 ライナーのチンストラップは、皮革製だったのですが、経年によりだいぶ硬化していて今回の撮影時にちぎれてしまいました(がっくり)。
 どなたか、「ああコレね。○○の○○だよ。」とご教示いただけませんでしょうか。

件のM-1ヘルメット
シェル(左)とプラ製ライナー(右)
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シェルを米軍のものと比較します。
左 米軍実物 シェル表面のつぶつぶに留意
右 件のシェル 表面仕上げは表、内とも完全なマット仕上げだけど、米軍のようなつぶつぶの吹き付けは為されていません。
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シェル内側にはかろうじて読める刻印が・・・
「M208A」? 「1208A」?
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ライナーを並べてみます。
左 米軍実物 件のライナーには徽章用ホールが開けられている。
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比較全景
上段 米軍実物
下段 件のヘルメット
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ライナーにスエットバンド、チンストラップを付けてみました、
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チンストラップ縫付け 
上段 米軍実物
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ネックストラップ部のクローズアップ
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シェルのリアシームの状況
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シェルチンストラップ
下段 米軍実物
ボールリリースフックの材質が明らかに異なる。
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(参考)bgibeerさんの50年代日本製ライナー
(ネットオークション写真を引用させていただきました。)
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追記:
チンストラップをフックするスタッドは、米軍の標準のもの(写真左)よりひと廻り大きいのですが、上記の日本製ライナーと共通しているようにも見えます。
なお、件のプラライナーにはいかなる刻印も見当たりません。また、ライナー内側表面は円滑な仕上げですが、外側表面にはざらざら感のあるモールドがなされています。
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by poemaquince | 2015-03-22 01:04 | M-1 | Comments(9)

鴬谷徒歩10分 笠俊商店へ行ってみました。

 その筋では非常に有名な笠俊(かさとし)商店さんにいってみました。いや何年ぶりでしょうか。ネットが普及して大抵のものは通販やオークションで入手できてしまうのですが、べトナム戦時代の小物やパーツなどは、必要なときには、やたら値段が高騰してたり、あるいはそもそも市場に出なかったりします。そんななか、頼りになるのが笠俊商店さんです。
 価格も非常にリーズナブルです。探し物があるひとは一度訪問されると良いでしょう。
(松崎商店さんも非常に頼りになるのですが、値段がそこそこしてしまうので手が出ません。)

 今回はJR鶯谷駅南口から出発です。非常に迷いやすいのでグーグルマップ必携です。
 (帰りは大丈夫だろうとグーグルマップを閉じて駅へ向かったら早速迷いました。)
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 お寺の多い町なかをてくてく10分程度歩いていくとあります。
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 当日は、先客の方がいらしてました。
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 べトナムダンシン市場の雰囲気を日本にいながら味わえます(笑)
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 レプリカから当時ものまで何がでてくるか分かりません。
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 探し物がある方は必ずご主人に訊ねてみましょう。川村はリクエスト4つのうち3つが見つかりました。いやー聞いてみるものです。(写真はお客さんと談笑中のご店主)
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by poemaquince | 2015-03-15 23:36 | 番外編 | Comments(3)

ジャングルファティーグ(1st)レプリカとの比較 どっちがレプリカ?当ててみよう その2

ジャングルファティーグ(1st)レプリカとの比較
どっちがレプリカ?当ててみよう その2

 という訳で前々回2月11日付の稿にて無理矢理「当ててみよう」企画にしてしまった中田商店「セスラー」ブランドのジャングルファティーグジャケットを細かく見ていきます。(まあ、どっちって聞かれたら、え、こっちに決まってるじゃん。って、みる人が見れば一目で分かっちゃうとは思うんだけどねっ)

前回の続き 全景から
ラベル位置(3カ所)に留意
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胸ポケットの比較
陸軍と空軍のナショナルインシグニアは両方とも実物
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ポケットの蓋を開いたところ
ハの字ステッチも再現しています。
もちろんドレンホールもそっくりです。
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ペン差しも付いています。
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エポレットのステッチもこの通り
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袖の造りがすこし異なるのはバリエーション?
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後ろ姿はこんなです。
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ウエストタブのアップ
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インストラクションラベルの比較
大きさが異なるのはバリエーション?
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ウエストボタンの当て布の状況
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裾の処理の状況
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フロントフラップの比較
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同じく裏側
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ハンガーループとサイズタグの比較
これで気づかれる方も多いと思います。
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正解はこちらでした。
皆さんはどの辺で確信しましたか?
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by poemaquince | 2015-03-04 22:44 | 番外編 | Comments(7)

映画「アメリカン・スナイパー」で描かれないこと

 映画の日ということで日本橋でクリントイーストウッドの「アメリカンスナイパー」を観てきました。(今回はちょっとシリアス(笑)なテーマです。)
 「アメリカ人」の狙撃手のお話、映画としては非常によくできていておもしろいのだけど、全米で大ヒットしているということも考え合わせると、観終わったあと非常に不安になりました。ふと耳に入る映画観賞後のカップルの会話もこの不安感を裏付けたりします。
 そもそもアメリカの軍隊が8000キロはなれた遥かな地で「非対称戦争」をなぜおこなっているのか?海兵隊はファルージャの町を包囲してなぜ市街戦を展開しているのか?アメリカ人の狙撃手に撃ち殺される彼らは本当にみんな「テロリスト」なのか?
 この映画を観るにあたって、最低限、物ごとを相対化した視点でみるリテラシーが必要であると感じました。そうでなければ、映画の主人公と同じくイラクに住む人々を「野蛮人」と蔑んで罵倒するメンタリティや、戦友が戦死したのは戦争の大義に疑問を抱いたからだという信念の吐露を共有してしまうことになりかねません。そして残念ながら実際にはそんなお客さんも決して少数とはいえない現実がありそうな気がします。
 
 2003年アメリカは、アル・カイーダやウサマ・ビンラディンあるいは9.11テロルとは何の関係もないイラクの世俗独裁政権に対し、「大量破壊兵器疑惑」を口実に戦争を仕掛けて武力侵攻します。結局「大量破壊兵器」はイラク国内のどこからも見つからず、開戦の口実そのものがガセだったことが明らかになった訳ですが、フセイン政権の崩壊の結果、統治機構が破壊されたイラク国内の状況は急速に不安定化し、米国も後継の政権を設置することに失敗して、武装勢力の割拠状態を生むことになりました。これがこの映画の舞台背景です。
 イランに対抗するため80年代にはフセイン政権を軍事支援していたアメリカ政府こそがフセインはイスラム原理主義とは全く関係ない世俗の独裁者であることを一番承知していたはずです。そしてその後、米国自身がそのイラクの統治権力機構を破壊したために、その機に乗じたイスラム原理主義の伸張、他国からの武装勢力の流入を招きました。この壮大な「マッチポンプ」の一番の被害者はイラクの市民であり、国家が崩壊し、社会生活基盤が破壊され、あるいは家族が殺されてしまったりと、米国に対する怒りと悲しみに同情を禁じ得ません。当時のブッシュ大統領やその政権のとりまき(チェイニーやラムズフェルド)は、ありもしない疑惑で他国の政権に戦争を仕掛け、政府を転覆したことについて何の責任も問われず(どころかPMCや石油利権でウハウハの疑惑さえ取沙汰され)、総括も反省もなされずに今に至っています。
 アメリカ社会の病理は、そのイラクでの戦争(ネオコンの儲け話)が、何故かテロとの戦いにすり替わっていることに気づかない(あるいは気づかせない)ことこそにあります。
 そしてこのアメリカ人の狙撃手は、イラクで戦争することが「テロリスト」を倒すことであることに一点の疑問もなく国家と一体化して戦います。ブッシュ(Jr)の戦争が「テロリスト」(蹂躙された側からみればレジスタンス)を生んでいることに全く想いが及んでいない(少なくとも映画ではそのようにみえる)のです。
 現在の「ISILの勃興」までに至る、この中東の大混乱の直接の始点となったブッシュ/ネオコン政府によるサダム(世俗)政権の打倒は、後世からみれば(「カノッサの屈辱(笑)」のような)歴史上の重大な転換点であるということが改めて確認されることになるのでしょうか。
 (追記:このように書くと3Kシンブンとかマに受けちゃうタイプの方から、「じゃあお前はテロを容認するのか!」とか「ISILがレジスタンスなのか!」とか「テロとの戦いに反対なのか!」とかご意見がよせられそうです(笑)。言わずもがななのですが、そう言うことではありませんので念のため。)
追記の2:たいへん鋭くかつ面白い分析の評論がありました!是非ご参照ください。
右の人は左と言い、左の人は右と言う炎上物件。
http://www.machikado-creative.jp/planning/4094/


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by poemaquince | 2015-03-03 00:37 | 映画 | Comments(4)