M-51Parkaに関する2,3の事柄

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映画「フューリー」《FURY》観てきました。「今度こそ(笑)ネタバレ注意!」

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シャーマンには詳しくないけど、荷物もごっちゃり積んでいて雰囲気でてるよね。
イージーエイト?

 先日、「フューリー」を劇場で観てきました。物語は1945年4月の西部戦線(ドイツ本土)が舞台です。
 観賞後の感想は、「?・・・リアルなんだけどリアルじゃない。」なぜそのような印象になるのか、観終わったあと物語をあれこれ反芻してみます。つらつら思い浮かんだのはつぎのようなことでした。
 オープニングは良い雰囲気です。シーンは戦車の墓場、擱座した4号戦車のシルエットに泣けたりします。そこに、ぽっくりぽっくりと馬に乗ったドイツ軍士官が登場します。馬がシャーマン戦車のシルエットの前にさしかかると、突然車上から人影が飛び出して、馬上の士官に飛びかかります。そして士官をメッタ刺しにします。アメリカの戦車兵ドン・コリアーです。なんで刃物で襲う?銃撃で十分ではないのか?ふっと違和感が胸をよぎります。
 SWみたいな曳光弾の表現はご愛嬌としても、前半はまだ我慢もできます。戦争の混乱や残酷さを描く、ぐっと来るシーンもあります。まあ、米軍コートを着ていただけのドイツ兵を処刑しちゃったりとか、占領した町の民家に押し入り食事を作らせたり、新兵に女性を世話するとか、ドン・コリアーの人物像はよくはわからないのですが、それは置いといて物語はすすみます。(っていうかそのあとに起こる砲撃の悲恋を描くためにドン・コリアーが唐突に新兵を連れ出すエピソードを作ったというところでしょう)
 そして、中盤の「タイガー戦車」との戦車戦のシーンにさしかかります。映画のプロモーションではけっこうここを売りにしていた印象です。ところがどういうわけか、せっかく実車を使って演出しているのにティーガーの恐怖が伝わってきません。アンブッシュしていたはずのティーガーが、灌木の茂みからあっという間に姿をさらけ出して、平地での激しい砲撃戦が始まります。なんだかよくできたビデオゲームを見ているような気分です。おまけに話題のティーガーは、「ここは1942年の北アフリカか?」というようないでたちです(ミュージアム収蔵品に対してそこを突っ込むのは過酷な気もするけど、むしろベースがT34でも何でもいいから、ざらざらのツィメリットコーテイングとおどろおどろしい3色迷彩で、灌木をびっしり身に纏ったティーガー(もどき)のほうが映像的に「リアル」だと思うんだけど)。気になったのは、ティーガーに立ち向かうシャーマン戦車の動きです。多対一で、普通は散開すると思うんだけど、ティーガーに対して3両並列して正面で対峙しています。戦術はよく知らないのでそういうものかもしれませんがなんとなく腑におちません。
 そして、クライマックスの十字路の防衛戦闘、いやはや、わだかまっていた違和感が全開です。ウォーダディーは、部下を守りながら激戦を生き抜いてNCOとして信頼をされて来たように描かれています。なので、部下に対して生還させる責任を全うするものとばかり思ってました。上手い作戦でドイツ軍の裏をかきエスケープハッチからこっそり生還すると。ところが、シャーマン砦に立て籠った「戦士」たちは、にっくきナチどもをばったばったとなぎ倒し、銃弾が尽きたら車外積載の予備弾薬も超人的に回収し、でも、最後は刀折れ矢尽きて英雄として死んでいきます。一方、あんなにたくさんパンツァーファウストを担いで行進していた武装SSは、なぜかだれもパンツァーファウストを持ってません。最後の最後にやっと持ち出すけど、擱座して動かないシャーマンに近距離から撃ってもなかなか当たりません(映画の前半ではフォルクスシュトルムの少年兵が進軍するシャーマンを仕留めているのですが)。身も蓋もない爆発と暴力のアクション活劇です。必然のないアクションシーンで物語を破壊しています。いや、個々のシーンは悪くないし、映像を切り取ればリアルなんだけど。ドン・コリアーのキャラに筋が通ってないというか・・・「葛藤する複雑な人物」に見える割に「物事を善悪二元論で理解」して行動するし、「日和見」なのか「原理主義者」なのか。まあ、なんていうかマーケティング的に「お約束アクション」を盛り込まねばならなかったハリウッド映画に期待してしまった自らの過ちを反省するのでした。

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1942年チュニジア(笑)


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シャーマン砦(夜陰にまぎれて脱出してほしかった)
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by poemaquince | 2014-12-20 23:52 | 映画 | Comments(0)

映画「シャトーブリアンからの手紙(Das Meer am Morgen)」観てきました。

 フォルカー・シュレンドルフ監督の映画「Das Meer am Morgen(あしたの海)」(邦題「シャトーブリアンからの手紙」)を渋谷イメージフォーラムにて観てきました。テーマがテーマだったので「ブリキの太鼓」のような歴史大作なのかなと思って、何の予備知識も無く観に行ったんだけど、クレジットで、ハインリヒ・ベルやエルンスト・ユンガーの名前が出て来て「あれ?」どういう関係?と思ったりします。
 エルンスト・ユンガーはまさに当事者として出てきました(プール・ル・メリットをぷらぷらさせてます)。ハインリッヒ・ベルのほうは、「汽車は遅れなかった」の印象があるので(私の中では)東部戦線関係のヒトという印象です。1941年のフランスに何か関係があったのだろうか?
 映画を観終わったあと、青山通りを渡って、宮下方面への坂をぷらぷら下りながら(いやはや再開発で風景もずいぶん変わりました)、ナントの事件の意味を反芻します。「スターリニストの冒険主義的テロル」「ヴィシーの行政機関としての役人の葛藤」「ベルリンとの板挟みになる占領軍出先」「処刑されることの意味を受け入れる活動家」etc,etcそれぞれの苦悩が交錯します。その中で、フランス語を解す気弱なドイツ兵が出てきます。エピソードもやけに多いので、「あれ?」という感じです。
 帰宅してネットでしらべてみると、そのドイツ兵の謎の答えがこちらに書いてあるのでした!!
→ http://young-germany.jp/2014/10/歴史映画で知的探究心を刺激してみる!【シャト/
 いやー、参考になります。そーだったのか!という感じです。あと、ユンガーについて、まさにご指摘の通り「安全地帯でヌルい日常を送っているおしゃれ軍人(笑)」と思って観てました。図星です。脱帽です。
 上記HPを読んでから映画を観ると、シュレンドルフの意図がもっと分かりやすくなると思います。人間として歴史に耐えうる振る舞いとはどういうことか考えさせられる映画でありました。

シュレンドルフ監督と、ピンクフロイド的士官とベルがモデルのドイツ兵(笑)
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(ところでユンガーと語り合うカミーユという女性はどういうヒトなんだろうか?そういった解説などが映画公式HPでは全くネグレクトされているのが気になります。映画の「背景」っていうページも簡単な年表だけだし)

イメージフォーラム全景
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映画ポスター
(売り方が違う気がする。でもそうでもしないと客は来ないわな)
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by poemaquince | 2014-12-09 00:42 | 映画 | Comments(0)

映画「フューリー」FURY《ネタバレ注意!!》

 物語は1944年12月のベルギー、森深いバストーニュ近郊から始まります。
 アメリカ第129兵器大隊に所属するシャーマン改造のM32戦車回収車「フューリー」号の車長ドン・コリアー(ブラッドピッド)は、ドイツ軍が燃料切れで放棄した車両の鹵獲を担当しています。
 乗員は車長のほか、シカゴ大を中退して陸軍に志願して来たインテリくずれの若者レイ(実は世界革命に共鳴してコミンテルンの密命を帯びている)と中年の高校教師エドガー・ダービー(のちにポットを盗んだ疑いで銃殺される)のあわせて三人
 ある霧深い日、戦車回収車「フューリー」号の面々は、ドイツ軍が放棄した三号突撃砲(実物/映画「鷲は舞い降りた」で出て来たフィンランドの三突)の回収を試みています。ところが時あたかもドイツ軍の新しい攻勢「クリストローゼ作戦」が始まって、三人は戦線の後方に取り残されてしまいます。三人は「フューリー」号を放棄し、森の中を逃亡しつつ友軍の陣地へ脱出を図ります。夜が明ける頃友軍のキャンプを発見するのですが、戦線が混乱する中、接近するのは非常に危険でした。またキャンプ内には、ドイツ兵が米兵に扮装して戦線をかく乱しているという噂も流れています。それでも三人は警戒線通過のパスワードをなんとか思い出し、友軍陣地への帰還をこころみます。三人は両手を頭の上にのせ符丁の言葉「ディマケーション(境界線)」を大声で叫びながら陣地へ進みます。一方、警戒壕の米軍兵士達は夜明けに霧の中から米兵姿の男達が近づいてくるのを怪しみ、重機関銃で掃射してしまいます。ここで「フューリー」車長は命を落としてしまうのでした。
 さて、友軍陣地に戻ることのできなかった残りの二人、レイとエドガーですが結局はドイツ軍の捕虜となり、当初は英軍の捕虜たちと一緒に収容所に収容されていました。数日後、百人ちょっとの米兵たちは契約労働という名目で「エルベ河畔のフローレンス」ドレスデンへ送られます。戦時下のドレスデンでも畜肉はすっかり市場から姿を消してしまっており、がら空きとなった屠畜場が、捕虜収容所代わりとなっています。米兵捕虜たちにはそこの5号棟が割り当てられました。
警備兵は米兵捕虜達が迷子にならないようにドイツ語でそこの住所を教えます。「シュラハトホーフ・フュンフ」
 日々麦芽糖工場での労働に従事していたレイとエドガーは、ある日(史実では1945年2月13日)、あのドレスデン爆撃に遭遇します。地下のコンクリート壕に避難した捕虜達は爆撃の音を聞きながら一夜を明かします。翌日ブンカーから出てみると、街はまるで月面のような廃墟と化していたのでした。街の片付けに動員されたエドガーは、たまたま拾って持っていた銀のコーヒーポットを警備兵に見つかり、迅速裁判により窃盗の罪で銃殺されてしまいます。残されたレイは、赤軍との連絡をとるため東へ向かうのでした。
 そしてエンドタイトルはこう結ばれます。
 "Poo-tee-weet?"
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墨田金属日誌さんの「ひそみ」に倣って未見の映画について書いてはみたものの、いや結構むつかしいっす。
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-category-2.html

追記:12月19日付で映画「FURY」の雑感を記しています。ご興味ある方はそちらもご参照ください。http://parkashell.exblog.jp/20546346/
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by poemaquince | 2014-12-07 22:51 | 映画 | Comments(0)