M-51Parkaに関する2,3の事柄

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CONMAR・SCOVILL・IDEAL(CROWNも!) ・・・ZIPPERの(商標の)話

 前回、ニューヨーク需品調達庁の訴訟案件つながりで、本邦の興味深い事例について思い出しました。
 アルミジッパーといえば「コンマー」というくらい一世を風靡したConmar Products Incですが、残念ながら1965年に廃業し、ファスナー事業についてはScovill Fasteners Incに継承されました。M-65にコンマーファスナが見当たらないのはこのためです。(追記:フィールドジャケットの方にはいくつか事例が確認できますが・・・)そのスコービルも、1996年にはファスナー事業を米国アイディアル社に売却しています。

 今回ご紹介するのは、コンマーファスナの商標について争った判例です。
 原告は、トイズマッコイ、被告は米国アイディアルファスナーコーポレーションです。
 判決自体は一見、原告(トイズマッコイ/リアルマッコイ)の訴えが認められた形ではあるのですが、CONMARの代わりにCONMERを国内において商標登録したりとかという原告の違法性そのものを否定するものではありませんでした。
 すこし分かりにくいのですが、判決要旨をひとことでいってしまえば、原告の違法性を認定するのに特許庁の審決した商標法の「適用条文」が違っているぞ、と特許庁審決を叱っている判決です。したがって、原告(トイズマッコイ/リアルマッコイ)がCONMARの商標を「剽窃」しようとしたこと自体はつぎのとおり認定されています。

 ‥‥原告は 、「CONMAR」との表示がコンマー社及びそのファスナーに関する事業を引き継いだ被告のファスナーの表示として需要者の間で広く認識されていることを知りながら、その表示と類似する本件商標の登録を得てこれを使用するものであり、本件商標は、原告が,不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであると認められる。
  
 一般には非常に分かりにくいマニアックな判決ですが、その筋では有名な判例のようです。
この判決が概ね妥当だとしても素朴な疑問としては、そもそも審判庁が商標法条文(4条1項7号)の適用を誤ったことに対し、今回の訴訟費用をなぜ「被告」のアイディアル社が負担しなければならないか?という疑問が涌いてきます。もちろん外形的には「原告」が勝訴したからですけども、なにか釈然としない感じがするのでした。
 40ページからなる判決文ですが、マッコイの言い分(書き間違えた、コンマーはそれまで知られておらずマッコイが市場を作った)、アイディアルの言い分(トイズと旧リアルは実質的に同じ、間違えるのはあり得ない)、裁判所の判断(ネット情報採用)などそれぞれ面白いので、ぜひ参照してください。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080626153626.pdf

追記
裁判所の判例検索システムで検索してみたら、こんな判例も出てきました!
東洋エンタープライズ(株)の「クラウン」がらみの判例です。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080107163936.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080804100101.pdf

コンマーのポピュラーなアルミファスナ(M-51 parka)
写真、暈けててすみません。
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スコービルのアルミファスナ(M-65 parka 70年)
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スコービルの真鍮ファスナ黒染め(M-65 parka 72年)
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写真追加(2014/11)
コンマーアルミ(M-65フィールドJKT 1st 66年?)
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コンマー襟裏 (M-65フィールドJKT 1st 66年?)
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by poemaquince | 2013-01-31 22:01 | 入門編 | Comments(2)

ニューヨーク需品調達庁 New York Quartermaster Procurement Agency

40〜50年代の製品のコントラクトラベルを見ていると、よく「N.Y.Q.M.P.A」という文字が出てきます。先の「47年型パーカタイプオーバーコート」のコントラクトラベルにもNew York Quartermaster Procurement Agencyとフルスペルで表記されてます。
フィラデルフィア需品補給厰(PQMD)の記事(http://parkashell.exblog.jp/11527135/)のときに、いずれはこちらもとは思っていたのですが結局詳細が分からずそのままになっていてしまいました。一体どういう役所だったのかグーグルで検索してみてもずばりの回答はなく、詳細は不明なのですが、どうやら陸軍の官庁のようです。
ちなみにmilcloeさんのページではこんな感じでした→http://milcloe.info/database/NYQMPA.html

で、フルスペルが一致する検索結果で行き当たったのは・・・なぜか訴訟関係?(追記:あるいは役所の会計検査?)の文書でした。
https://bulk.resource.org/courts.gov/c/F2/262/262.F2d.631.288.289.24732.24733.html
とか
https://bulk.resource.org/courts.gov/c/F2/354/354.F2d.318.532-58.html
とか
例によって英文はよくわからないのですが、前者は、アイクジャケット用のウールサージ生地が支給材(発注者負担で請負者に材料を渡すこと)だったようなのですが(M-51とかもそうでしたが仕様書には支給した生地の端切れとかもガバメントプロパティと書いてあります)どうやら、その支給材の生地をごまかして横流しした案件?のようです。
後者は、Contract No. DA 30-280-QM-23627で契約した寝袋の納品に関して、請負者と発注者で輸送費をどっちが持つか?みたいな感じなのですが良くわかりませんでした。
(もし詳しい方で奇特な方いらっしゃいましたら、ぜひ解説お願いいたします)

N.Y.Q.M.P.Aの例 M-48パーカの場合
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New York Quartermaster Procurement Agencyの例(あまり見かけないけど) オーバーコートパーカタイプの場合
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さて、訴訟といえば本邦においても興味深い事例があります。
次回は、コンマーファスナの商標についての判例です。
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by poemaquince | 2013-01-30 23:06 | parka | Comments(0)

M-1947あるいはOVERCOAT PARKA TYPE その3

ひきつづき47年型OVERCOAT PARKA TYPEについてです。

ウールパイルライナーの全景
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カフニット部 袖の留めボタンはひとつ
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フード部の比較
左47年型、右45年型
フードのボタン数や、ドローコードの位置など配置がかなり異なることに留意
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フードボタンを開いたところ
左47年型、右45年型
両者とも真鍮のコンマーファスナであるが、47年型は大型化していることに留意
なお、45年型はフードに直接パイル生地を貼付けている。
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フード部背面の比較
左47年型、右45年型
47年型の肩にプリーツがある!ことに注意(すこし見づらいけど)
45年型の肩のスナップファスナはライナー留め用
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47年型ライナーのスナップボタン(スタッド背面)のクローズアップ
この個体はユナイテッドカー製を使用
パイルはウールのいわゆる「もこもこタイプ」
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45年型ライナーのスナップボタン(スタッド背面)のクローズアップ
この個体はスコービル製を使用
パイルはアルパカではなくチント(人造ファー)と思われる。
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(ぜんぜん関係ないけど、N-1にもこのファーが使われていたとしたら、YMCLKYのN-1ジャケットはやはり秀逸ということですよね! 1万円そこそこで、M-51やN-1の雰囲気をよく捉え、あそこまで再現するシービーズさんに最敬礼! いや5万6万出せばオリジナルだって買えますから)
◆YMCLKYオリジナル 米軍タイプ N-1 デッキジャケット 新品


 朝鮮戦争当時の写真をみると、冬期衣料についてはこのパーカタイプオーバーコートが多く観察されます。
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細密な写真はこちらから
http://www.flickr.com/photos/imcomkorea/2919491051/in/faves-1391606@N08/lightbox/
Missouri infantrymen with the 19th Inf. Regt. along the Kumsong front wish Happy New Year to the stateside folks. December 14, 1951. Cpl. Mervyn Lew. (Army)

NARA FILE #: 111-SC-387519
WAR & CONFLICT BOOK #: 1399
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by poemaquince | 2013-01-28 00:05 | parka | Comments(3)

M-1947あるいはOVERCOAT PARKA TYPE その2

 2010年10月に45年型のOVERCOAT PARKA TYPEに言及し、47年型についてもいずれやろうとは思っていたのですが、かれこれ2年以上が過ぎてしまいました。というわけで、今回はいわゆる「M-1947」OVERCOAT PARKA TYPEについてご紹介いたします。なお、45年型の「その1」についてはこちらhttp://parkashell.exblog.jp/11389738/もご参照ください。

OVERCOAT PARKA TYPE(47年型、以下M-47)の全景
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M-47の前を開いたところ ウールパイルのライナーに留意
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M-47の背面
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フード廻り
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この個体は大型のコンマージッパーを使用
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ハンドポケットはボタン留め
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ハンドポケットを裏からみたところ
ウール生地の張合わせのみ、後のパーカのような補強がない。
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腰の大型ポケット
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その内側に縫い付けのコントラクトラベル NYQMPAの発注、M-48パーカなどでもよく見かけるKRAVIN PARK CLOTHES製1950年12月のプロダクト
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by poemaquince | 2013-01-27 13:21 | parka | Comments(0)

暴强的冬日护具  不畏风雪的派克大衣也时髦  M51

めちゃくちゃ寒い冬の日のマストアイテム!風雪もへっちゃらのパーカコートがおしゃれです!(意訳)


あけましておめでとうございます。
2013年は、何かと話題の多い中国のお話から始まりです。
10億人を超える隣国で、M-51はどうなってるんだろうという素朴な疑問から、「バイドゥ(百度)」で、検索してみました。
あれれ、どこかで見たような写真に、知らないロゴが入っちゃってます(!?)。おおっ、党中央直轄の「人民網(ネット)」にも登場しちゃいました。えへへ。(http://lady.people.com.cn/GB/17094931.html
追記 人民網の記事は削除されちゃったけど、コピー記事がこちらに残ってました。
(ていうか、こっちがオリジナル??)
http://gb.cri.cn/30944/2012/02/10/3765s3552170_2.htm

 N2BとN3Bのキャプションが入れ替わっちゃってますが・・
M-1951
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 风雪大衣的经典款型
 因为出身军用服装,经典的风雪大衣款式都有各自的编号,如今风雪大衣也是自这些经典款式演变而来的。
 パーカの原型モデル
 軍もの衣料としての原型パーカはそれぞれ固有の制式型番を持っている。今時のパーカはこれらを原型として、変化して来たもの。(要旨意訳、あってます?)


面白いことに、「人民網」の上↑の記事は、各地方の電視台(テレビ局)なんかのHPにもそれぞれ転載されているんだよね。党中央のお墨付きで安全だからなのかな?

もし記述者川村がこの記事の人民日報の記者だったら、この写真を載せようと思うんだけど・・・
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IEEZY.TAOBAO.COM(↑中国のネット通販のお店です。)

ファッションブログでこんなページもありました!
「シルヴィーの甘い生活」N3BとM-51の差異の解説(という翻訳で良い?)
http://blog.fashionguide.com.tw/2567-sylvie/posts/49779-買物│n-3b-m-51差異小筆記
追記の追記:シルヴィーさんのブログですが、「百度」で検索して?みつけたから、中華人民共和国の人のHPと勘違いしていましたが、よく見ると台湾(中華民国)のかたのHPでした。すみません!おまけによく見るとご本人は日本に留学??せっかくの親日家の女子が排外主義が跋扈する日本に幻滅せずに帰国できますように!(2013/6/27)


台頭著しい隣国(中国のことです)ではありますが、その内実はジョセフ・ナイのいうところの「ハードパワー」に偏っているように感じます。記述者川村は、それに惑わされることなく淡々と21世紀型「ソフトパワー」の社会を築いていかなくちゃ、と新年にあたり思うのでした。

ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力

追記:「南方周末」の社説書き換え問題が話題になっています!
 支持南周! 良知心无罪!
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by poemaquince | 2013-01-06 13:05 | 入門編 | Comments(7)