M-51Parkaに関する2,3の事柄

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ERDL迷彩の謎

M-51パーカの朝鮮戦争からいきなり時代がくだり、今回は、ベトナム戦争被服の話です。
今回のERDLカモフラージュの写真は、かれこれ二年近く前に写真に撮ってはいたのですが、はっきりしたことがわからなくて、ブログ掲載についてはすこし保留していました。
もちろん現在もはっきりしたことは分かっていないのですが。(笑)・・・で、今回のお題はズバリERDLの謎です。
68年にヴェトナムにて支給されはじめたERDL迷彩(いわゆるリーフパターン迷彩)は、ミリタリーサープラス業界(?)では、その色彩からグリーン迷彩とブラウン迷彩と呼ばれる二系統の色調で区分されています。また、その配色から、グリーン系を低地用、ブラウン系を高地用などと説明する説等があります。
ところが、現物のコントラクト/アイデンティファイラベルを見てみても両者は区別されていません。(同様の指摘は、ブラッド ターナー氏のHP「カモフラージュネット」http://www.kamouflage.net/camouflage/00053.php ERDLの項にも言及がありました。しかし氏は低地用ライムグリーン迷彩と高地用ブラウン迷彩をあきらかに区別しています。)
一方、ケビン ライルス氏の「VIETNAM:US UNIFORMS in colour photographs(Windrow and Greene)」では

During the course of its issue the ERDL camouflage pattern was manufactured in several distinct color variations. The shade of the base color differed considerably from batch to batch, from a dull ocher to a quite vivid pea green.
ERDL迷彩パターンは、支給の過程の間にいくつかの異なる色のバリエーションが生産されました。基本色の色調は生産ロット毎(from batch to batch)に、低彩度の黄土色から彩度の高い黄緑色までかなり異なりました。(・・・並木書房から邦訳版も出ているのですが、from batch to batchはどう訳してあるのでしょうか?)
 というように、ベースカラーの色調の違いはバッチ工程毎の「ゆらぎ」であるというような書きぶりです。
ヴェトナム戦争米軍軍装ガイド (ミリタリー・ユニフォーム)

今回お伝えしたかったのは、リーフパターンのトロピカル被服の調達発注に際しては、ブラウン色系もライムグリーン系も、仕様上特に区別はしておらず、従って、高地用とか低地用とかの説明は、もっともらしい後付けの解釈ではないかということです。
もちろん、迷彩図形は共通していると思われるので、発注にさいしての意匠の型紙はあったのではないかと推測しています。
さらに謎なのは、US版ウィキペの「ERDLパターン」では、1968年の支給は高地型ブラウンリーフからと説明しています。出典がなにかあるのでしょうか・・・

追記:当ブログの導師(勝手に決めちゃいました)である milcloe氏が、またまた米軍リポートの一次資料(「現代迷彩における心理的物理学(U)」:米陸軍ナティック調査開発研究所)を発掘し、新たな見解を指摘されています。
ライムグリーンのオリジナルを「ERDLパターン」と呼称するとすれば、いわゆる「ブラウンリーフ」はNLABS-1、いわゆる「LCリーフ」と呼ばれるものはNLABS-2という呼称が当てはまるのではないかというものです。詳細は、下記コメント欄を参照してください。(20/jul/2012)


ティピカルな COAT COMBAT TROPICAL
写真は「いわゆるブラウンリーフ」
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いわゆる「グリーンリーフ」と「ブラウンリーフ」の比較
左側がグリーン(洗いざらしなので鮮明なライムグリーンではないですけど)  
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サイズラベル
左がグリーン(同一のストックナンバーに留意)
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コントラクトラベル
左がグリーン
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おまけ
DLA時代のLCリーフ(左)との比較
追記:右手から、ERDL迷彩、真ん中NLABS-1迷彩、左側NLABS-2迷彩
(詳細は下記コメント欄milcloe氏コメント参照)
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迷彩柄の黒い部分は、スズキコージ画伯のサンヨルチュウ(「たいこたたきのパチャリントくん」)を思わせます。
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by poemaquince | 2012-06-30 14:34 | 番外編 | Comments(9)

「いせや公園店」で

 颱風一過の翌日、まだ風が強いなか、井の頭公園に面する「いせや公園店」に行ってきました。
 本店にひきつづき公園店も建替が報道されたせいか、平日の昼間というのに結構混んでいるのでした。
 (前々々日の日曜日は、すごい行列でした。休日ともなればもう入れません。)
 中高年オヤジさんのほか、カップルやファミリー、サブカルのヒト?、諸国の観光客のみなさんなどで店内はいっぱいです。昼日中から公然と酒を飲む。大人になれば辛いこともいろいろとはあります。でも、ほんのひととき、酒と焼き物でささやかな喜びを噛みしめるのでした。

 入口の一人客用カウンターに案内され、ハイボール(350円)を注文
 ビール(大瓶で500円)や串物に比べるとハイボールの価格設定のお得感は少ない。280円くらいだととても嬉しい。(と勝手な言い分)
 今日の肴は、「漢字伝来」大島正二(岩波新書)
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漢字伝来 (岩波新書)

 混んでるせいか、少し遅れて串も到着、とり(左)、タン、ハツ、シロ(右)、各80円
 最近、ネギがないんだけど、季節扱いなのだろうか。
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ひっきりなしにお客さんもご来店。このときは、欧米系の観光グループ
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by poemaquince | 2012-06-24 20:51 | 番外編 | Comments(2)

M-1948ライナーの謎 その2  あるいは朝鮮戦争特需における日本企業

なにやら大学の授業のような、ものものしい副題です(笑)。
じつは先週は、M-1948パーカのディテール比較をやろうと思い、梅雨になる前に原稿用の写真を撮っておこうと、(以前ファームウェアをリブートさせて復活した)「リコーキャプリオGX」で、久々に、日がな一日パチパチと写真を撮ってみたのですが、夕方PCに読み込ませてみたところ・・・
なんじゃこりゃ?撮影した2/3ほどの写真が、こんなでした。
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どひー 苦労していろいろ撮ったのになんで?カメラのモニタにはしっかり写っていたのですが・・・もう脱力です。
そんなわけで前回は、急遽パーカ本体ではなく、M-48ライナーの謎の記事になったのでした。
梅雨に入り雨もしとしと降っています。今回もM-1948ライナーについての記事をお送りします。

ティピカルなM-48パーカとライナーの全景
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この個体のパイル地は、グレーのウールタイプ
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この個体の裡ポケットに貼付けされているインストラクションラベル
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この個体の裡ポケットの内側に縫付けされているコントラクトラベル
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パイル地が白いタイプのパーカとライナー全景
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この個体の裡ポケットの内側に縫付けされているコントラクトラベル
前項の個体と同様、パターンデータが、1948年12月24日で、PQMD(フィラデルフィアクォーターマスターデポ)の生産品のようであるにもかかわらず、「MIL-スペック」の記載があるなど、表示のヴァリエーションがかなり異なることに留意
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パイル生地のみならず、ライナーの内張り生地まで白いタイプの個体の全景
パイル地はウール、内張り生地はナイロン(レーヨン?)、貼付けの裡ポケットは生成りのコットン製と思われる。
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この個体の裡ポケットに貼付けされているインストラクションラベル
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この個体の裡ポケットの内側に縫付けされているコントラクトラベル
非常に興味深いのは、コントラクターが、DAIICHI.K.Kという名前!なんと、これ日本製?
おまけにパターンデータが1952年8月7日! 契約年月日が、52年6月30日!
M-51採用後の50年代になっても、M-48の生産が継続されていたことを物語っているのでしょうか。
This garment was made in (occupied?) Japan!
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NHKのテレビドラマ「梅ちゃん先生」(笑)でも、朝鮮戦争の軍需需要で景気が回復するエピソードがありましたが、その当時、M-48ライナーまで扱っていたとは!・・・いやー興味深いっす。
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by poemaquince | 2012-06-16 15:14 | parka | Comments(0)

M-1948ライナーの謎!(あるいはLuftwaffe Fallschirmjäger RZ-20)

 以前、ヤフーオークションをなにげに見ていると、M-48パーカーが出品されておりました。そのパーカは程度も非常に良く、なにより珍しいライナーもついているではありませんか。ああっ珍しい!・・迷彩のパラシュート生地を再利用してるんだ・・・でもこんな金額じゃ手届かなから関係ないや・・・などと(口惜しく)ぼんやり考えたりしていたのでした。パラシュートの生地も、漠然と米軍あたりのもののような気がしていたのです。
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 そのまま時が過ぎ、パラパラと「ボルサレロ博士と菊池晟氏の本」をめくっていたら・・・あれ?この生地・・・と思い出したのは件の迷彩M-48ライナーです。ただの迷彩パラシュート生地などではなかったのです。なんと、ドイツ空軍のファルシムイェーガー(降下猟兵)のパラシュートRZ-20ではないですか!


 また、別のオークションではこんな個体も出品されていました!
 なんと、グラスファイバーわたのEX-48-1ライナーにも件のドイツ軍パラシュート生地が再利用されているではありませんか!

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 米軍は、第二次大戦時に接収したと推測されるドイツ軍のパラシュート生地を、なぜ再利用したのでしょうか?当時(40年代末から50年代初頭にかけて)、それほど生地の需要が逼迫していたということでしょうか?・・謎です。
 (本来ならば実物を入手したうえで、自ら撮影した写真で紹介するのが筋とは思うのですが、いかんせん手が出ませんでした。ただ本件考察につきやはり実物写真は必要と考え、出品者様の写真を利用させていただき記載いたしました。したがいましてこれらの個体に関する写真の著作権はオークション出品者様にございます。)


 また、RZ-20に関する写真の一例は、wehrmacht-awards.com
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http://www.wehrmacht-awards.com/forums/showthread.php?t=377334&page=2
www.flickr.com
http://www.flickr.com/photos/bcv/285570902/
・・・等を参照してください。
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by poemaquince | 2012-06-10 22:18 | parka | Comments(0)