M-51Parkaに関する2,3の事柄

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MIL-P-11013 (初版) 14 March 1951

前回(2010年12月2日)のブログでは、M-51PARKAの仕様書(D版)の入手について記載したところですが、それについて本ブログでもたびたび言及・参照させていただいているHP管理者のmilcloe氏よりコメント投稿がありました。その時のやりとりは別途参照していただくとして、翌日、非常に重大な(M-51PARKA業界・・そんなものがあるのか!・・に激震が走る)コメントが寄せられたのでした。それもあまりに重大なため(笑)、非公開で!
(ご本人の了解をとりその全文を記載すると)

初版のスペック、買ってみました。1951年3月14日付のものです。 生地に関してですが、MIL-C-10924のコットンナイロンオクスフォードが指定されてます。 この初版の内容では、コットン厚地のパーカの存在の説明ができないですね。後の修正版で生地が変更されたのか、あるいは、調達の際に生地に関して一時的な修正条項があったのかもしれませんが、当時の調達記録に関しては、米国の公文書館にでも行かない限り、調べるのは困難です。(後略・・)

つまり、M-51の採用当初から、コットンナイロンの平織生地が正規の仕様であった!ということが明らかになってしまったのでした。さらに恐ろしい事に、初版の仕様書には、いままで一般的に「初期」と呼ばれていた「コットンの厚手生地」についての言及がありません。また、袖の大型ボタンについても薄型(旧タイプ)についての言及はなく、いきなり厚型(前回記事の28番型と同型)ボタンを指定しているではありませんか(それも詳細図面付で!)。
念のため、初版、初版修正1、改版A、改版A修正1(この入手についても紆余曲折がありました。別項で言及したいと思いますが・・・)まで確認しましたが、コットン厚生地についての記載は見られませんでした。(もっとも英文を見落としてる可能性は否定しませんが)
本稿で何度か言及してきた、薄型生地が当初から採用されていたのではないかという推測は証明されたわけですが、新たに謎は深まるばかりです。

1951年3月14日付初版仕様書の表紙
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初版仕様書の2ページ目
3.3.1ベーシックマテリアル(基本素材)の項に問題の記載が!
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(初版検討に於ける私的総括)
○51年3月14日初版で規定される本体生地はcotton-nylon,oxford,5 ounce, olive green No.107であった。
○コットンサテン生地については、言及されていない。
○袖の大型ボタンは厚型(メラミンまたはフェノール樹脂製)のみ指定
○51年3月の情勢により、パーカ生地、ボタン等について調達上の特例仕様の容認があったのでは?(本稿7月「コットンサテンの厚生地は本当に「初期型」か?」参照)
○形式図の裾は、本稿7月の「極初期?モッズパーカー」と同一タイプ
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by poemaquince | 2010-12-12 02:34 | parka | Comments(6)

件の「ファティーグボタン」について MIL-P-11013D

  先日、ついに M-1951 PARKA SHELL に関するMIL規格仕様書(MIL-P-11013D)を入手することができました。といっても残念ながら1962年8月29日付のリビジョンD版なんだけど。なので、当初期待していた初期のコットン/ナイロンの生地の状況などについては記載されていませんでした。(追々、詳細にいついて言及していこうと思ってるんですが、英文は得意でないのでなかなか捗らないかも。)
  ところで突然ですが、皆さんは"あの"ボタンの呼び名に困ったことはないですか?よくフィールドジャケットのライナーを留めたりする、表裏が同形で中央がヘコんだ19mmのあのプラボタンの・・・・記述者(川村)は苦し紛れに「いわゆるファティーグボタン」とか呼んでいます。「ドーナツ型」などと呼ぶ人もいたりしますがいまいちしっくりとはいきませんよね。また、初期ジャングルファティーグやDSA時代のM-51(フィールドジャケットもパーカーも)などについているあれは、やけにつやつやです。私は、あれはその当時(60年代初頭)納品したメーカーの製品がたまたまそうだっただけだと思っていました。ところが、前述の仕様書をみてたら、ちゃんと書いてあるではないですか!

3.2Material.素材
3.2.9
Buttons.ボタン
The buttons shall conform to type 2, class D, style26, 30-line and style 28, 45-Line of specification V-B-871.
ボタンは、仕様書V-B-871によるタイプ2、クラスD、スタイル26番の30ライン(約19mm径)とスタイル28番の45ライン(約28mm径)に一致させること。
The buttons shall have a glossy finish and shall conform to button shade standard, color olive green BP.
ボタンは、つやあり仕上げとし、オリーブグリーン色BP(button/plasticの略?)のボタン色合い規格に一致させること。

連邦仕様V-B-871は、ボタンとボタンホールについて包括的に?定めているものと推測できます。そこで定める「スタイル26」があの形のボタンのようです。30ラインというのは大きさを示す単位だそうで、もともとは欧州の腕時計の大きさを表していたとか。「スタイル28」のほうは、大きさからいってもM-51独特の袖ボタンを指すものと思われます。そして注目すべき点は、つぎの文で、The buttons shall have a glossy finishとわざわざ「つやつや仕上げ」にしなさいと指定している!ことです。もちろん「初めに製品ありき」で仕様の文言のほうを製品に合わせたとも考えられるのですが。グロッシーでもマットでもどちらでも構わないような気がするので、なぜわざわざグロッシーと記載する必要があったのか、またまた謎が増えるのでした。
で、結局、あのボタンの呼び名ですが、「V-B-871で定める26番型の19mmボタン!」って・・・めんどくさ~、本稿では当面、「件のファティーグボタン」とでもしておきます。

件(くだん)のファティーグボタン(つやつや~)
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V-B-871で定める28番型の28mmボタン(笑)
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by poemaquince | 2010-12-02 22:22 | parka | Comments(4)

モッズコートとは何か?  或いはM-51PARKAは如何にして「モッズコート」となりし乎

「モッズコート」とは何か?
 概観:"日本の女性ファッション誌からの派生"
  2000年を過ぎたあたりから、街ではお洒落着としてファーフードのついたコートがちらほら見られるようになりました。その当時は、いわゆるミリタリーコートのなかではフライトジャケット系テイストをひきずったデザインが主流だったような気がします。その後、ファー付フードのコートが流行りだし、05年あたり?から、フィッシュテールデザインなどをモチーフとしたファーフードを付けたミニマルなコートなどが多数出現し、女性誌などで「モッズコート」などと呼びならわされるようになりました。それがいわゆる「モッズコート」の始まりと考えています。当初は「フィッシュテールパーカをルーツとするデザイン」に限って自覚的に?「モッズコート」と呼んでいたと推測されますが、ことばが流通するに従って、ファー付のミリタリー調のコート系はすべて「モッズコート」と呼ばれるようになりました。そしてここ5年くらいで、「モッズコート」の名称が完全に定着してしまったといえると考えます。(本稿2010年1月「M-51PARKAの呼称について」参照) さらに恐ろしい(笑)ことに、ネット通販などを通じ海外へも「MODS COAT」なる呼称が広まりつつあるように思えます。「MOD PARKA」や「FISHITAIL PARKA」が駆逐されてしまうのでしょうか?
 そもそも、それ以前はモッズ「コート」などではなく、あくまでモッズ「パーカー」と呼ばれておりました。60~70年代の日本での状況は分かりませんが、79年の映画「さらば青春の光」(写真)をひとつの契機として、その後の80年代前半のモッズパーカーの流行があったといえると考えます(当時は、まだその身形に対抗文化の匂いが感じられました)。が、その後ミリタリー系アウターは、フライトジャケットやM-65(フィールドジャケットの方)などと入れ替わり立ち替わり大・小流行を繰り返しながら時代が下っていきます。
  90年代後半には「青島コート」流行というM-51パーカ受難の時期を経て、冒頭のファーフード流行に連なるのでした。
  ここ数年、アパレル系のデザインソースとして完全に定着しドメスティックブランドからも数多くの製品がリリースされるに至り、もうまったく完全に「カウンター」でも「カルチャー」でもなく消費されていくのでした。(まあホントは80年代も「消費」だったんだけどさ)

で、本物のModsで、M-51Parkaを着た人たち 1964年ブライトン
(Brighton 1964  Photo by Keystone/Getty Images)
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当時(から90年代まで)は、ファーを付けない着方がポピュラーでした。
00年代のファー付フードの流行にモッズパーカーの意匠が合流したものが「モッズコート」として現在に至っていると考えています。(ただし、メディアの流通過程で、「モッズ」の意味・意匠が消失してしまったことは前述のとおりです。)


映画「さらば青春の光」(1979) Phil Daniels/QUADROPHENIA(1979)
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by poemaquince | 2010-12-01 00:36 | parka | Comments(3)