ほんとは猫空(まおこん)へ行くはずが、「明器」を観る。
ほんとは台北郊外の猫空(まおこん)へ行くはずだったのですが、ちょうど台風が接近していて、天気はまあまあの割に風だけが強くて、猫空(まおこん)站のロープウェイも停止しているようなのです。 スマホで貓空纜車HPの運行情報を見ても、営運サインは赤が点灯しています。「今日は一日、動きそうにないね」と、いうことで、急遽予定を変更して、近場にあった「国立歴史博物館」へ行ってみることにしました。
ホテルから徒歩5分くらいのところです。(MRTだと「小南門」站から真っすぐ南下する方面の)台北植物園の裏門?から入りました。
蓮の池を通り過ぎ博物館の裏手から正面へ廻ります。建物は写真で見るのと違っておもったよりこじんまりした感じです。常設展示のほかは、企画展など3つほどやってました。ひとつは地元画家の個展、もうひとつは台湾先住民族の「文物」展、三つめは台湾のなかの他のアジア(主にアセアン)諸国との共通する(あるいは異なる)文化の比較(例えば影絵(ワヤン)や檳榔(びんろう)売りなど)をテーマとした展示でした。推測になりますが、こういった中華文明以外の先住民族や広くアジア諸国との共通する文化をテーマにしているのは、「中華民国としての台湾」ではなく、「我々の台湾」という政治意識の反映なのではないかなどと考えたりします。多分、そこが「国軍歴史文物館」のメンテナンス閉館ともつながっているような気がします(いや、推測ですけど)。
ということで、常設展示です。
中華文明の至宝ということであれば「国立故宮博物院」のほうがメジャーだと思う(行ったこと無いけど)のですが、こちらの博物館もこじんまりはしてますが国宝5点を含む、古代春秋の青銅器から明・清の磁器までひととおりのものがそろってます。旅のスケジュールとしては、そのこじんまり感が、かえってちょうどいいかもしれません。そのなかで特に興味深かったのが、漢の陶・俑や、唐の三彩でした。特に紀元前・後200年を通じての漢代の陶・俑(「明器」と呼ばれるお墓の副葬品)は、その時代、すでに「文化的都市生活」が(たとえ特権的階級だったとしても)成立していたのだなあと、感慨深いものがありました。また、薄暗い館内でぼんやりうかびあがるそれら明器を見ていると、なんだか諸星大二郎先生の「夜市」(すみません諸怪志異「鬼市」でした)を思い出したりするのでした(いや、時代は違いますが)。
灰陶撫琴屋
これ、2千年近く前のものですよ!
北魏の時代のもの
リンク先は「光文社版コミック」(アマゾンが違ってる)です。「鬼市」は第三集に所収ですが、どの巻もとても面白いので、未読の方は全巻ご覧になるのが宜しいかと思います。
この項つづく