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M-51Parkaに関する2,3の事柄

UNDER THE SUN ドキュメンタリー映画「太陽の下で」観てきました。(泣き)

 ロシア人監督のドキュメンタリー映画「太陽の下で ー真実の北朝鮮ー」を、シネマート新宿でみてきました。この映画をみると、かの国に生きる人々が切なくて泣けてきます。
 ロシア人の監督が、ピョンヤンの市民生活のドキュメンタリーを撮るという名目で北朝鮮当局の許可のもとカメラを廻し、そのドキュメンタリー撮影の「シーン」の背景も含めて撮影するという手法で「北朝鮮当局」のドキュメンタリー演出を描く「メタ・ドキュメンタリー」になっています。
 カメラに写る街並みは整然としています。たぶん、「革命首都」のピョンヤンであるからなのでしょう。また、思いのほか皆さん華やかな装いをしています(国内産の衣料が、あまり入手できず中国から輸入されたものがカラフルだからという説もあるようです)。みたところ街中ではトロリーバスも結構稼働していますし、日本製の自動車も沢山走っています。その一方で、小学生のこどもには「倭奴(ウエノム/帝国主義の日本人)や地主を金日成将軍が追い払ってくださった」みたいな授業をしています。ちらとですが三菱鉛筆ぽいものを使ってるこどもも写ります。彼らの中で「倭奴」や「米帝、南朝鮮と同盟する日本」と、街で見かけるクルマや日用製品をつくる「日本」がどのようにつながっているのかを聞いてみたい気がします(案外、日本製とは気づいていないかもしれませんが)。
 まあ、今回の映画で描がかなくとも、かの国の「ドキュメンタリー」フィルムには、「演出感」がありありと「にじみ出て」いるので、それを真(ま)に受けるひとは少ないと思うのだけれど、それでもこのような形であらためて克明にその「メタ」な状況がかいま見られるのは、興味深くはあります。
 ネタバレになるので詳細は省きますが、川村もラストのシーンでは涙が止まりませんでした。そして、「我々は彼らを笑えない。笑ってはならない。」と自らを省みて強く感じ、戒(いまし)めとしました。
 かの国のかれらは命を賭けて否応無く「ウソの世界」を生きています。振り返って我々はどうでしょう。テレビの「バラエティー」や自称「報道機関」のアレをマに受けるとか、耳触りのいい「ネットDE真実」でホントのことを分かったつもりになっていたりとか、自ら検証するという努力も無く、安逸に「情報」を求め、都合のいい解釈を「真実」として信じていたりします。かの国の彼らは選択の余地なく情報を強制されているわけですが、ひるがえって我が国に暮らす人々はまさに自分で選択できる立場にあるわけです。そして、自由な社会に生きるけっして少なくない人々が「アレな情報」をマに受け信じちゃってる状況がたち現れています。市民的自由が確保されているにもかかわらずそのような「ポスト・トゥルース」や「オルタナティブ・ファクト(笑)」が一定の力を持つ時代がほんとうに到来してしまいました。まったく醜悪かつ危機的です。
 ヴィタリー・マンスキー監督も、「朝鮮民主主義人民共和国」という「全体主義体制」を描きつつ、じつはロシア人に向けては「あんたらしっかりしろや。チェチェンやシリア、あるいはウクライナについてもっと良く考えたら」といいたかったのも知れません。

https://youtu.be/zzkoIExzfts
https://youtu.be/yAPf_77qBGc
by poemaquince | 2017-01-30 23:39 | 映画 | Comments(2)
Commented by タイガ at 2017-02-04 02:25 x
こんばんは。私の友人の在日ロシア人が言っていましたが、昨今のロシアでは国内のプーチン崇拝が凄まじく、メディアも政府の圧力を恐れると共に売り上げに繋がるからと政府と右派に迎合しており、嫌がらせを恐れてもはや誰もプーチンに異を唱える事が出来ない状態なのだそうです。彼は、ソビエトが終わったのに、自分の国はまだそんな状態なのだと嘆いていました。
アメリカのトランプもそうですが、ロシアでも過去にテロ事件で大量の死者が出ているため、社会が恐怖と憎悪に苛まれた時、決まってああいう「強いリーダー」が支持を得てしまようですね。漠然とした不安感を抱く大衆に「テロ対策」、「経済の安定」、そして「誇りを取り戻す」というスローガンは呆れるほど効果絶大なようで。ロシアやアメリカに比べれば遥かにマシな状態なはずの日本でも、この安易なデマゴーグが着実に実行されていますね。
ここ数年、民主主義が持つ弱点を一気に見せつけられ気が滅入ります。
Commented by poemaquince at 2017-02-05 23:35
タイガさま
いつもコメントありがとうございます。
(レス遅くなり恐縮です。)
まさに、おっしゃるとおりの状況です。
「趣味の軍ものブログ(笑)」にこんな事書かなければならなくなるような日本の社会状況がホントに来るなんて、思ってもみませんでした(笑)。←笑ってられないかも(泣)。