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M-51Parkaに関する2,3の事柄

べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)

 今年5月にべトナム戦争期のM-1ヘルメット入門(ライナー篇)を始めてはみたものの、自分自身が、ライナーの変遷をよく理解していなかったため、中途半端な紹介記事となってしまいました。今回、不十分ながら再度整理して、大戦後のM-1ヘルメットライナーの変遷をとりまとめてみようとおもいます。
 特に注意されたいのが、60年代の一時期、「M-1ヘルメットライナー」の二つの仕様が同時に並行して採用されていたことです。
 ひとつは、二次大戦期からの仕様(ボディーが、コットンダック・レジン製)によるMIL-L-1910、もうひとつが、抗破片性能の向上した(ボディーが、ナイロン・レジン製)新型のMIL-L-41800です。新型は1963〜64年ころに登場しますが、その時点で先行していたコットンダック製のMIL-L-1910を廃止とせず、新型と同型のクレードル型サスペンションを装備して並行して生産されました。
 では、具体的に見ていきましょう。

MIL-L-1910
左 大戦型ライナー(〜1954)
右 55年型(1955〜1963)
右は、ヘッドバンドを外した状態(実は付け忘れて撮影(笑))
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_1738648.jpg


MIL-L-1910
左 大戦型ライナー(〜1954)
右 55年型(1955〜1963)
正面から見たところ
大戦型のライナー正面に、徽章用アイレットがあることに留意
55年型ではアイレットは廃止された。
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17375896.jpg


MIL-L-1910の三形態
左 大戦型(〜1954)
中 55年型(1955〜1963)
右 64年型(1964〜1969)
64年型ライナーのボディーは、コットンダックレジンのまま、サスペンションが新型(クレードル型)となっていることに留意、また、革のチンストラップが省略されている。
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17374491.jpg


MIL-L-1910
左 55年型(1955〜1963)
右 64年型(1964〜1969)
両者を側面からみたとこと
革製チンストラップの有無、ネックバンドの形状などが変更となったため、サスペンションを留めるリベットの位置などが異なることに留意
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17372653.jpg



MIL-L-41800
左 64年型(1964〜1974)67年5月コントラクト
右 64年型(1964〜1974)68年7月コントラクト
左のものは、ヘッドバンドを外した状態(実は付け忘れて撮影(笑))
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17371398.jpg


MIL-L-41800
左 64年型(1964〜1974)68年7月
右 最終型(1972〜1984)84年
最終型の特徴は、それまでAワッシャーとリベットでライナー本体に固定されていたクレードル型サスペンションが取り外し式となった。
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_1735776.jpg

最終型の取り外し式留め具
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17345366.jpg

左 64年型(1964〜1974)68年7月
右 最終型(1972〜1984)84年
両者を側面からみたとこと
サスペンションを留めるリベットの位置などが微妙に異なる。
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17344331.jpg



MIL-L-1910(64年型)とMIL-L-41800(64年型)の比較
左 MIL-L-1910
右 MIL-L-41800
ボディーの材質が異なるのみで、外観にほとんど差は無い。
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17315765.jpg

MIL-L-1910のコントラクト(69年3月)
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17314234.jpg

MIL-L-41800のコントラクト(67年5月)
新型だけどこっちのほうが古い
べトナム戦争期のM-1ヘルメット その2(ライナー篇のつづき)_a0164296_17313350.jpg

by poemaquince | 2015-09-03 17:56 | M-1 | Comments(2)
Commented by 汎用服男 at 2015-09-04 18:16 x
御世話になります。いつも、楽しく(というより、感心して)拝見しています。過去に写真と同コントラクトの取り外し式留め具ライナーを所有していました。しかし、僅かに大きく作られているせいか、ライナーのツバがシェルから2cmほどはみ出しました。買い直した同メーカーで83年コントラクトのライナーはほぼピッタリ収まりましたが、ご所有のライナーは如何でしょうか?また、過去のライナーと比べて表面吹き付けの砂(?)も粗いように思いますが、そのこともフィットに影響しているかも知れません・・・
Commented by poemaquince at 2015-09-04 23:11
汎用服男さま
こんにちは。
シェルとライナーは、組み合わせによって、はまり具合が全然違いますよね。私も、生産された時代ごとの仕様かなとも思ったのですが、MIL規格のライナーの仕様の変更時期と、スチールシェルの仕様の変更の時期は、全くバラバラでも有るので、むしろ個体どうしの組み合わせの相性によるもの?との印象が強いです。ただし、検証したわけではありませんので生産時期の仕様の違いの可能性もあるかもしれません。またまた謎が深まります(笑)。