M-51Parkaに関する2,3の事柄

ベトナム戦争期のM-1ヘルメット その1(入門編)

 第二次世界大戦から、朝鮮戦争、べトナム戦争にわたって、アメリカ軍の主要装備であったM-1ヘルメットについて、ネット検索すると、第二次大戦期については、オフィス万両さんのHP http://www.manryou.com/m1hel/index.html などで、詳細な解説などをみることができす。しかしながら、それ以降の朝鮮戦争およびベトナム戦争期のM-1ヘルメットに付いては、その他のネット上でもあまり言及が無いように思えます。また、断片的に書いてある情報もまちまちな内容でどれが妥当な内容なのか判断がつきません。そんな訳で暫定的にベトナム戦争期のM-1ヘルメットについてざっくりまとめてみたいと思います。(この分野についてはもっと詳細な情報をお持ちの方が沢山いらっしゃると思います。誤りなどありましたら是非ご教示ください。また、ネットオークションなどで、代用パーツなどを流用しているにもかかわらず高値を付けて出品されている場合などもあります。初心者の方が中途半端なM-1ヘルメットセットを高値でつかまされないようにご参考いただければ幸いです。)
 今回の「入門編」では、「べトナム戦時のM-1ヘルメット」をテーマとして、「その1」では、ライナーを中心に観ていきたいと考えます。

 さて、M-1ヘルメットの構造上の最大の特徴として、外殻帽(シェル)と内帽(ライナー)の二重構造になっている点が挙げられます。それぞれ外帽をシェル、内帽をライナーと呼称します。また、当稿では、ライナー(内帽)の内装部分について、ライナーを懸架保持する部分を「サスペンション」、皮革製の汗止め帯を「ヘッドバンド(スウェットバンド)」、後頭部の保持帯を「ネックバンド」、あごひもを「チンストラップ」などと表記しています。(様々な呼び方がされて紛らわしいので念のため言及しました。冒頭から煩わしくてすみません(笑))

重要な追記(2015/5/10)
 ライナー篇その1を始めては見たものの、早速混乱しています。
この記事は、主にJim Rogers氏の「STEEL POTS, the M-1 combat helmet, An American military icon」という記事を参照しながら記述してみたものです。
ところが、調べれば調べるほど混乱が深まります。
まず、ライナーのMILスペックですが二つの規格が同時代に併存しているようなのです。
MIL仕様書に直接当たれた訳ではないのですが、断片的情報を総合してみると
MIL-L-1910 LINER, SOLDIER'S STEEL HELMET
MIL-L-41800 LINER, GROUND TROOP'S HELMET
(それぞれにタイプ1と2があり、1は標準仕様、2が空挺仕様になります。)
 で、1910のほうが、コットンダック/ドリル製で、41800のほうがナイロン製(防弾 防片) に該当するようです。おまけに、上記の記事では、「64年」にライナーの大きなモデルチェンジがあった旨の記載であったのですが、USミリタリアフォーラムの投稿を参照すると、60年代初頭にも1910仕様のコントラクトが確認されています。
MIL-L-1910A (Spec number)
DSA-1-374-E-62 to Firestone (date of contract is 9MAR62)
DSA-1-2479-E-62 to Firestone (date of contract is 20APR62)
DSA-1-1284-E-63 to Marmac (date of contract is 31AUG62)

MIL-L-1910B
DSA-1-4741 to Pat-Ric (date of contract is 17JUL64)

このことによって、ライナーのフルモデルチェンジの時期については確定的なことがはっきりしなくなってしまいました。フルモデルチェンジは、64年より前(61年?)であったのか、あるいはM56などとも呼ばれているので56年には既に変更していたのか、はたまた64年のMIL-L-1910のアメンドメントAからBへの変更が、そのモデルチェンジに該当するのか?謎は深まるばかりです。
(以下、64年型という表記は直してありませんが、「64年型」かどうかは保留します。)


重要な追記その2(2015/5/24)
ネットであれこれ検索してもなかなか確定的なことが解らなかったので、アマゾンで、M-1ヘルメットのオーソリティー MARK A. REYNOSA氏の「POST WW2 M-1 HELMETS an illustrated study」をつい買ってしまいました。円が弱いので結構な値段です。(まーでも、ちょっとしたトコで一回飲んだと思えば一緒か)
・・・で、その結果なのですが、前述のジム・ロジャース氏の記事内容とほぼ一致です。おまけにカラー写真が豊富なので良く解る!
大戦後、MIL-L-1910シリーズが1951年からリプロダクトされて55年に小モディファイ、そして64年にサスペンションを一新(仮にクレードル型と呼びます)し、69年まで生産されています。
一方、MIL-L-41800(ナイロン素材)は、64年から、クレードル型の「新型サスペンション」が採用され、72年には、Aワッシャー固定から着脱式サスペンションが採用されました。
いや、専門書があるアイテムは謎が解けて本当に助かります。


 という訳で、写真にて見ていきましょう。今回はライナー編です。
 正面アイレット(ハトメ穴)が廃止された1955型M-1ライナー(左)と、皮革チンストラップが廃止されサスペンションデザインが一新された1964型M-1ライナー(右)
 55年型ライナー側面のチンストラップ用のおおきなリベット(カシメ)に注意、内側のチンストラップ用のピンを固定している。64年型には見当たらないことに留意
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 両ライナーの内側の比較
 55年型のデザインは、二次大戦中のデザインをほぼ踏襲している。
 64年型で、ハンモックおよびネックストラップが一新された。また、ライナーのチンストラップが廃止された。
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 両方とも64年型ライナー
(素材が違う?→追記:両者ともMIL-L-41800のナイロンラミネートでした!)
 左:MIL-L-41800C
 1968年以降、材質はナイロンラミネートに全面的に移行
 右:MIL-L-41800D 70年代初頭の製品(ナイロンラミネート製)
 材質は、60年代を通じコットンレジン製とナイロンラミネート製が平行して生産された。
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 クレードル型ライナー(写真はMIL-L-41800系)のネックバンド
 3点のストラップにて取付けられていることに留意
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クレードル型ライナーのバリエーション
左:通常型 
右:空挺タイプ V字型のチンストラップ用ストラップとシェル固定用スナップボタン(ソケット)に留意
 両者とも、ネックバンド(下)を外した状態
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MIL-L-41800系のバリエーション(側面)
左:通常型 
右:空挺タイプ シェル固定用スナップボタン(黒)に留意
 ライナーの素材が柔らかいため?ほとんどの塗装がはがれ落ちてしまっている。
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空挺タイプのネックバンドおよびスエットバンドを取り外したところ
ハンモックはA型ワッシャーで、ライナーに直接リベット止めされていることに留意
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同じく、ハンモックに印字されたコントラクト表示のクローズアップ
 LINER, SOLDIER'S STEEL HELMET (COMBAT) TYPEⅡ
タイプⅡは空挺仕様を表す。
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by poemaquince | 2015-05-06 23:22 | M-1 | Comments(0)