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チェ・ドンフン監督、日帝統治下の京城が舞台の映画「暗殺」観てきました。(ネタバレあり?)

 日帝統治下の抗日運動という題材は、個人的にもぐっときてしまうテーマなのですが、いやこの映画、泣きあり笑いありのエンタテイメントで面白い!! 
 例によって新宿シネマートの小さいほうのスクリーンです。午前9時台の上映だからあまりお客さんいないのかなと思っていましたが、日曜だったためかそこそこの入りです。おまけに韓流ファンのひとたちなのか女性も多い。日韓関係が硬直化しているなか、「韓流」も一定程度定着しているといえるのでしょうか?でも、以前と比べた新大久保界隈の凋落をみてしまうと安心もできないわけではあります。 
 さて、物語のプロローグは1911年の京城の事件から始まります。それから、大戦後(光復後)(たしか1947年頃)の「民族反逆者調査委員会」(みたいな名前、正確には忘れた!)のシーンを挟んで、1933年?金九の指導する亡命政権からの暗殺指令が物語の本編につながっていきます。
 満州に展開する抗日パルチザン部隊からは、上官殺しで隔離審査中の女性狙撃兵がリクルートされます。彼女(チョン・ジヒョン扮するアン・オギュン(安玉均?))の火器は赤軍からのものなのか?ながーいモシン・ナガンで、おまけに狙撃兵なのに近視!です(ぐっときます)。
 上海のフランス租界のシーンも泣けます。アン・オギュンは、ホテルミラボーのカフェで生まれて初めてのコーヒーを飲んでいます。横暴に騒ぐ「大陸浪人(日本人のです)」が通報され、カフェにフランス租界の警察が取り締まりにやってきます。あわやのところでアン・オギュンを正体不明の男(ハン・ジョンウ)が機転を利かせて助けたりします。(出会いです!)
 そして、上海の町並みの描写がすばらしい。半分はCGで描き足しているのかもしれませんが、雑然としたモダンさにあふれた雰囲気がでています。また、ソウル(てゆうか京城)の雰囲気も同様にすばらしい。路面電車、日式看板、乗用車、石造りのモダンな建物と木造建築、時代の雰囲気がでています。三越百貨店や「カフェ・アネモネ」のシーンなど、帝国主義の支配は、一面では「都市という文化の近代化」の側面もあったのだなあという事が感じられたりします。そして、ハン・ジョンウ扮するなぞの男は、日本語をネイティブに話せる(物語の設定上)ことから、たぶん日本への留学組という設定なのかもしれません。(1930年代にすでに成人している人物は、その時点ではまだ「徹底した皇民化教育」は受けてはいない世代と思われます。むしろそれ以前に、日本の大学などへ留学し、民族主義あるいは社会主義などの影響を受けた人物という設定だったのではないでしょうか。)
 この映画についてもう一点、指摘しておきたいのは、特定の民族にステレオタイプな役割を押し付けていないということです。この点が、きわめて良質のエンタテイメントとして安心してみていられる重要な条件なのではないかと感じました。もちろんカタキは出てくるのですが、それは日本人に限らず、いわゆる「買弁資本家」的な民族資本家や、対日協力者だったりします(もちろん彼らにも彼らなりの言い分があります)。あるいは、「朝鮮独立」を支持し命をかけて闘争を手伝ったりする日本人(カフェアネモネのバーテン青木さん?だっけ)も登場します。また、光復(解放)後の「民族反逆者裁判」についてもその醜悪さや限界をしっかり描いたりしています。
 活劇あり、萌え系めがねの狙撃手あり、ダブルエージェントの裏切りあり、娘と家族の葛藤あり、結ばれない切ない恋ありのエンタテイメントとして楽しめると同時に、(お話はフィクションではあるのですが)日本/朝鮮近代史の一側面を感じられる映画でもあると言えるでしょう。
 なんといいますか、まるで夭逝してしまった天才漫画家、湊谷夢吉先生の作品、例えば「魔都の群盲」の世界を思い出します。先生が生きていてこの映画を観たらきっと絶賛した(あるいは悔しがった?)かもしれません。
 これから順次国内で公開されるようです。アジア近現代史に興味のある方は是非ご覧いただく事をお勧めします!
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# by poemaquince | 2016-08-23 19:31 | 番外編 | Trackback | Comments(0)